☆しろの雑記帳☆


7/23 今月のお出かけ

めずらしく、週末にお出かけしてきました。…閉会間近の展覧会と、初日のと一緒に見ようとしたら、こうなってしまって…
週末の都心はやっぱり混んでますね。新宿とか、もうマスクしてる人1/3くらいかな…やっぱりちょっと怖いかも。
展覧会も混んでました。(特に終わりかけのが…)でも、帰りの電車はガラガラで、週末ならではのいいこともありますね。

見に行ったのは、まずは文化学園服飾博物館日本服飾の美
公家装束や能衣装、江戸や明治の打掛など、豪華な日本の伝統衣装がたくさん展示されてました。
双眼鏡で拡大すると、刺しゅうなどの細工の細かさがよくわかります。能装束の帯とか公家の烏帽子とか、珍しいものもいろいろ。
個人的には、総刺しゅうの松と薔薇の組み合わせが斬新な打掛とか、5種類の竹を刺し分けた刺繍の打掛とかがお気に入り。
日本服飾の所蔵品図録が割引になってて、つい購入。(画像はネットで盗んだものです。なんか赤系ばかりですみません…)

近頃話題の新版画ですが、個人的に欧米作家が気になって、太田記念美術館ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画へ。
新版画大人気の上、展覧会最後の週末で、大変混んでました。絵葉書とかほぼ売り切れ。
ポール・ジャクレーは幼少期から日本で育ったフランス人で、版元に所属せず、彫師、摺師を集めて制作していたそうです。
南洋の島の人々を題材にした作品が有名ですが、ポーズとかかなり煽情的。欧米のお客さんの好みのイメージだったのでしょうか。
個人的には、東アジアの日常風景を描いたものの方が興味深かったです。アイヌの老若男女とか、貴重な資料でもありますよね。


  能装束 江戸時期   打掛 江戸末〜明治初期   陣羽織 江戸後期     名も無き天才、韓国  父親を亡くしたばかりの息子、ソウル  剣を持つアイヌの男、北海道

最後はサントリー美術館虫めづる日本の人々へ。
平安の昔から、虫の音を聞いて、虫を画題にしてきた、日本の風俗と美術をたどる展示です。
主に、花虫画的な絵や工芸品、虫の音や蛍を楽しむ風俗を紹介する絵、博物画や図鑑的なもの、という感じで展示されてました。
花虫画の伝統は中国から伝わったもののようですが、琳派の花の絵には蝶や蜻蛉はおなじみですよね。
トーハクさん所蔵の酒井抱一の絵巻が展示されてましたが、せっかくだから、もっと長めに見せていただきたかった〜。
鈴木其一の雨中菜花楓図も素敵でした。菜の花の葉の裏にとまってるモンシロチョウや、楓にくっついてるミノムシがかわいい♪
工芸品は蒔絵に虫の形を象嵌した小箱とか、櫛や簪なども。江戸の博物画も昆虫を詳細に描いていて、大変興味深いです。
最後に現代作家さんの自在置物の昆虫が展示されてて、ものすごく精巧でリアルでした。これは動かしているところを見たいなあ…
行ったのは初日でしたが、展示替え後の後期も面白そうです。せっかく会員になったんだし、できればもう一回行きたいかも。
(画像はネットで盗んだものです。)

秋草虫蒔絵螺鈿小箱(部分) 17-18世紀 四季花鳥図巻(部分) 酒井抱一  雨中菜花楓図 鈴木其一  四季草花草虫図屏風(部分) 18-19世紀  虫豸帖 増山雪斎  自在大蟷螂 満田晴穂

お出かけした日は、それほど暑くなかったのですが、梅雨も明けて、来週は熱波が来るようです。
皆様もどうぞお気をつけてお過ごしくださいませね。


7/16 突然の奈良

…すみません、お店をサボってばかりで…実は、急に奈良に行ってまいりましたもので…
東大寺戒壇堂が工事中の間、代りに開いてた千手堂が秋ごろ閉まると聞いて、9月頃行こうかなあと思ってたのですが
コロナ以来閉まっていた興福寺中金堂が今は開いてると知り、電話で聞いたら、いつまで開いてるか未定と言われ
じゃあもう行っちゃおうかと思って、急遽行くことにしたのです、が…7月の奈良、暑かったです。
まあ、東京も暑いですが、観光で歩き回るのは、暑い時期はやはりつらいですね。
暑いので、今回は奈良公園周辺だけ、それもなるべく博物館系中心に回りましたが、それでも暑かったです。

でも、一昨年行ったときと違って、外国人観光客が、ものすごく増えてました。日本人観光客は、そんなにはいなかった感じ…
一昨年は、公園でお弁当食べてたら、飢えたシカに追いかけられて大変なことになりましたが、今回はそれほどでもなく…
外国人の方々が鹿せんべいをあげまくってましたからね。ご家族で、10枚一包み200円の鹿せんべいを10包みくらい買ってる方とか
シカにお辞儀をさせながら延々と食べさせてる方とか…円安効果もあるんでしょうね。インバウンドすごいです。
シカさんも観光客の皆様もせんべい屋さんも、皆ハッピーで、ほんとに良かったです。

何はともあれ、戒壇院千手堂へ。細やかな装飾が美しい千手観音と、小さいながら立体感と迫力の素晴らしい四天王。
この四天王のポーズ、海住山寺の四天王に似てます。海住山寺のは、燃えちゃった快慶作の大仏殿の四天王の写しというから
千手堂の四天王も同じ写しなのかも。写しは他にもいくつかあるし、大仏殿の四天王、よほど素晴らしかったんでしょうね。

千手堂には、着いてすぐと、帰る前に寄ったのですが、2回目のときの見張りの係員の方が仏像にお詳しくて
千手観音が撮影禁止で、写真集も出てないと不満を述べたら、90年代の修理のときの資料集があると教えてくださいました。
えええ〜〜今までどこで聞いても書籍はないと言われたのに…古本屋さんまで紹介していただき、ほんとにそちらで買えました。
あくまで資料集で、写真集ではないですが、でも、絵葉書の写真より大判だし、資料としても貴重なものでした。
こういう情報って、詳しい方に当たらないとわからないんですよね。何度も通った甲斐がありました。ありがとうございました。
とはいえ、こちらの画像はネットで盗んだものです。…検索したら一昨年より画像が増えてた感じで、ちょっと嬉しいです。
動画も見つかりました。衣装の截金や、四天王の横顔も、ご堪能下さいませ。


   戒壇院千手堂           千手観音と四天王      千手観音立像      美しい截金や瓔珞      四天王広目天      四天王増長天

今回見た鎌倉仏からいくつか…。奈良国立博物館の特別展「聖地 南山城(みなみやましろ)」のポスターの海住山寺の四天王増長天。
例の大仏殿の快慶作の写しです。高さは35p程度なのに、写真だと大きく見えます。細工の細かさによるスケール感ですかね。
こちら、奈良博の名品図録に入ってたので、奈良博に寄託されてるようです。展覧会には海住山寺で出るので、知りませんでした。
同じ展覧会の大智寺の文殊菩薩騎獅像。快慶作の安倍文殊院の文殊菩薩像の写しだそうですが、むしろ東寺の帝釈天に似てる気が…
笠置寺の毘沙門天立像、こちらは小型の仏像ですが、なかなか迫力あります。(特別展は撮影不可でネットの画像を盗みました。)

常設展の奈良博所有の仏像は撮影可になりました。すばらしい!とはいえ、寄託品がほとんどなので、撮影可のは少ないですが…
鎌倉仏の二十八部衆迦楼羅王と如意輪観音像。二十八部衆は4体出てましたが、どれも小型ながら、存在感のある造作でした。
如意輪観音はちょっとなまめかしくてきれいな仏像でした。(如意輪観音って、なまめかしいのが多い気がしますが、なぜかな?)
最後は興福寺中金堂四天王持国天像。運慶作との説もある大きな四天王。トーハクの運慶展の目玉の一つでした。
素晴らしい像なのですが、なんか運慶展のときと印象が…トーハクでは照明で顔の立体感が強調されてましたが
自然光で見ると、お顔の塗が落ちたまだらが造作より目立ってしまうようです。もちろん双眼鏡で見れば造作はわかりますが
ちょっともったいないような…ライティングの大切さとトーハクマジックを実感しました。(画像はネットで盗みました。)


海住山寺の四天王増長天  大智寺の文殊菩薩騎獅像  笠置寺の毘沙門天立像  二十八部衆迦楼羅王   如意輪観音像   興福寺中金堂四天王持国天

暑いので遠出を避けたため、奈良公園周辺でも、普段あまり行かないところに、逆に行けました。例えば、大仏殿とか。
大仏は…創建当初か、鎌倉仏ならぜひ見たかったのですが…それに快慶の四天王も…。現在の大仏殿でしろが見たいのは
国宝の八角灯籠と大仏の蓮弁の装飾。…大仏殿前の八角灯籠、創建時のものだそうですが、音声菩薩は4面中2面はレプリカとか。
笛や笙などを演奏する音声菩薩も美しいですが、扉面の獅子もなかなかかわいいです。ぐるぐる回って鑑賞しました。
大仏の蓮華座はほぼ当初のもので、蓮弁に仏が刻まれてると聞いて、ぜひ見てみたいと思ったのですが…暗くてさっぱり…
双眼鏡を一生懸命のぞくといくらか見えるのですが、写真に撮れたのはここだけ。フォトショで加工したら、何とか仏の顔が…
天平の華やかな雰囲気が、いくらかでも偲ばれますでしょうか。
堂内に展示されてる蓮弁のレプリカを見ると、装飾はかなり残ってるようなのですが…本物をもう少し見たかったなあ。

二月堂にも行ってみました。大仏殿や奈良の風景、ちょっと日暮れに近づいて、なかなか風情がありました。
地元の方が、二月堂に登る石段の一番上と下だけ模様が刻んであると教えてくださいました。
奈良を愛する地元の方が、あちこちで推しの観光地を案内されてます。英語もできる方が多く、外国人観光客にも喜ばれてました。
二月堂から大仏殿に続く坂道は、風情があって、いろんな作家さんが絵や写真に収めていらっしゃいますね。
土壁と石畳が良い雰囲気です。近くの二月堂供田(宗教行事に使うお米の田んぼ)がちょうど青々として、カエルが鳴いてました。

春日大社の国宝殿萬葉植物園にも行ってみました。萬葉植物園は万葉集に出てくる植物とその解説を展示してるお庭です。
今は蓮がきれいに咲いてました。大賀ハスと原始ハス。原始ハスは万葉の頃から日本にあったハスだそうです。
国宝殿は動植物文様がテーマの展示でしたが、雀模様の鎧兜とか、猫柄の太刀とか、可愛い武具が多くて、ちょっと楽しかった。
雅楽の衣装も鼠柄とか、鯉柄の刺しゅうの地の上に漁網に見立てた網を被せて縫い合わせてあったり、珍しくて面白かったです。
(国宝殿は撮影不可なので、図録を写しました。)


大仏殿八角灯籠音声菩薩   大仏の蓮華座の蓮弁  二月堂への階段  二月堂からの眺め、左側に大仏殿  二月堂から大仏殿への坂  萬葉植物園の原始ハス   雀柄の鎧兜

あまりに暑かった上、帰ってきたらうちも暑くて、ぐったりしております。それにやっぱり奈良は遠いなあ…
名古屋からだと、高速バスですぐだったのですが、私の家からだと片道5時間くらいはかかるんですよ。
東京に引っ越してよかったけど、大好きな奈良に行きにくくなったのが、ちょっと残念ではあります。でもまた行きたい奈良。
調べると、東大寺さんも興福寺さんも、通常非公開の仏像をまだまだお持ちらしいのですよ。ぜひいつか見てみたいのです。




前の雑記帳