☆しろの雑記帳☆


6/30 久々の公園

梅雨の間を縫って、ひさーしぶりに昭和記念公園に行ってきました。…暑かった…
もうすっかり夏ですね…雨には降られずにすみましたが、その分日差しが強くて、水筒があっという間にカラ。
そして、久々なので、虫よけとか忘れてまして、やぶ蚊に刺されまくりました…笑

とはいえ、久々の公園は楽しかったですよ。アジサイは見頃終わりですが、まだまだきれいでした。
公園にはいろんなアジサイがあっちにもこっちにも咲いてます。色もいろいろ、形も様々。
その中から、いくつか画像を上げてみました。
ほんのりピンクの入った紫系とかとてもきれい。ガクアジサイが好きなんですが、八重のタマアジサイも華やかでいいですね。


アジサイいろいろ

房が垂れてるカシワバアジサイもきれいです。白とグリーンの取り合わせもシックで素敵。
あとは、ハナショウブや芝生広場のお花畑は、終わっちゃってました。来年また見られたらいいな。
ハーブ園も見頃過ぎの花が多かったけど、クマバチさんに久々に会えたので、それは良かったです。
満開だったのは、西立川口近くのオリエンタルリリーと、民家園裏のダリア畑。
ダリアとか、ピーカンのお日様の下で、とても嬉しそうでした。元気だなあ…
民家園のハスはまだつぼみでしたが、夕方西立川口の池の近くに、業者さんが蓮の鉢を設置していらっしゃいました。
まだほとんどつぼみですが、変わり咲きの蓮、これから咲くのが楽しみです。


カシワバアジサイ   ハーブ園のクマバチ          オリエンタルリリー             満開のダリア       変わり咲きの蓮の鉢

7月は多分またサギソウまつりなんじゃないかと思いますが、6月からこんなに暑くちゃ、サギソウもしおれちゃいそう…
でもまたがんばって歩きに行こうと思います。


6/25 今月のお出かけ

すみません、書くのが遅くなって、もう終わってしまった展覧会もあるのですが、6月にお出かけしたものを一応ご紹介…
まずは国立科学博物館の特別展恐竜展2023と企画展科博の標本・資料でたどる日本の哺乳類学の軌跡。恐竜展の方はすでに終了してます。
今回の恐竜展の主役の「トゲトゲ」ことズール・クルリヴァスタトルの皮骨や皮膚の残った化石と
捕食者ゴルゴサウルスとの対決を模した骨格標本、それから2頭並んだティラノサウルス骨格標本などが、展示の呼び物です。
ズールの生々しい皮骨のトゲや尾のこん棒はすごい迫力ですし、その他にもいろいろな恐竜の標本が展示されてました。
しろのお気に入りはスキピオニクス幼体の化石。体長約50pの小さな化石はちょっとかわいいし
保存状態の良い内臓や胃の内容物を、拡大写真や色分けしたパネルで表示していて、大変興味深かったです。

日本の哺乳類額の歴史展示は、科博所有のたくさんの資料を使って、江戸から開国、明治、戦後までの研究誌を辿ります。
もちろんはく製や骨格標本もありますが、江戸時代の図版や明治の博物画、書籍や論文、写真など、資料も多岐にわたります。
実物標本も骨格標本・液浸標本・はく製、はく製も本はく製・仮はく製・フラットスキンと多様、なめし皮やミイラまでありました。
動物学者高島春雄が唱えた三大珍獣のはく製が並んでいたり、日本で初めて動物園で飼われたキリンのはく製もありました。

日本に動物学を伝えた欧米人の学者や、歴代の日本の哺乳類学者、はく製師などの似顔絵が、等身大パネルなどで展示されてて
とても良く似てて雰囲気の良い絵なので、作者の方を知りたかったのですが、どこにも表記がなく、案内の方もご存じない。
せっかくお上手なんだから、作者ぐらい公表してほしいと、アンケートに書いてきましたが…
展示はとても面白かったのに、それだけがどうも引っかかっていまして…どなたかご存じありませんでしょうか?


 スキピオニクス幼体化石   ズールvsゴルゴサウルス   ティラノサウルス タイソン&スコッティ   三大珍獣  はく製師本田晋とハチ エチゴモグラのフラットスキン標本

お次は東京駅近くのインターメディアテク東大植物学と植物画‐牧野富太郎と山田壽雄vol.4
NHKのドラマで話題の牧野先生がらみの展示、今回は肉筆画ではなく、大日本植物誌の図版です。
牧野富太郎・山田壽雄協同制作という、精緻で精巧な植物画ですが、やはり肉筆画の方が雰囲気柔らかくて好きかなあ。
とはいえ、やはり桜は美しいです。撮影禁止なので、画像はネットで盗んだものです。

科博で、牧野先生の植物画展やってくれないかなあ。撮影禁止でもいいですから、その代わり図録をつけて下されば…
ドラマで話題だから、もっと画集が出版されるかと思ってたら、随筆や伝記が多いんですよね。牧野先生の絵をもっと見たいなあ…


大日本植物志  牧野富太郎・山田壽雄協同制作図版 モクレイシ    オオヤマザクラ                    オオシマザクラ(部分)

最後はサントリー美術館吹きガラス 妙なるかたち、技の妙。…こちらは本日で終了です。
古代オリエントからの吹きガラスの歴史を、美しいガラス器で辿る展示です。日本のガラスの歴史や、現代作家の展示もあります。
撮影は一部可でしたが、ガラスを撮るのは難しいですね。…結局、画像はネットで盗んだものです…
展示では、ローマ時代や日本の江戸時代の吹きガラスの技法を、実験から推測して解説してあって、大変興味深いです。
図録には、更に詳しい解説が載ってて、これも大変読み応えありました。
江戸時代のちろりを再現制作する映像が上映されてますし、江戸時代の職人図などもありました。
江戸時代には、徐冷技術がなかったため、型吹きで、すごく薄手のものが多いとか。さすが鉛ガラス、徐冷に強いですねえ…!

技術的なことも面白いですが、やっぱりレースガラスのゴブレットとか、舟形の器とか、大変美しくてうっとりでした。
複数のパーツを繋いだステムや、気泡を入れてねじったステムのグラスとか、双眼鏡で拡大して見るのも楽しいです。
江戸のちろりが色違いで3個も出てて、少しずつ形が違って、どれも美しかった…
戦前の氷カップでは、型吹きを利用してオパールガラスに白濁の型模様を入れたのとか、こんなので氷食べてみたい。
現代作品も、伝統技法をアレンジしたものから、オブジェ的なもの、美しいデザインの量産品まで、さまざまでした。

サントリーさんの展覧会は、しろ的に好みのものが多くて、今年はとうとう年間パスを購入してしまいました。
次の展覧会もとても楽しみです。


舟形水差16-17世紀  唐草文蓋付ゴブレット16世紀  バラスターステムゴブレット17世紀  レースガラスゴブレット17-18世紀 エアーツイストステムゴブレット1750頃  藍色ちろり18世紀  輪繋文赤緑なつめ型氷コップ20世紀

旅行でくたびれて、うちでだらだら旅行記書いてたら、もう梅雨ですねえ…公園のお花もいろいろ見逃してしまいました。
また次の旅行に備えるためにも、公園に歩きに行きたいと思っております。(でも梅雨が明けたら暑くなるんですよねえ…)


6/22 パリ周辺のゴシック教会

パリにはゴシックの教会がたくさんあって、いくつか行ったのですが、代表的なのを年代順にご紹介。
まずはサンドニ大聖堂。パリの北側にあって、地下鉄で行けます。聖ドニは3世紀にローマから布教に来た聖職者で
伝説ではモンマルトルの丘でドルイド僧に斬首され、首を持って歩いて、現在の大聖堂の場所まで来て死んだのだとか。
大聖堂は代々の王家の墓で、地下にも内陣周辺にも、たくさんの墓標や石棺が並んでます。
でも、しろが興味があるのは、古いステンドグラス。サンドニはゴシック教会発祥の地と言われてまして
現在の教会は、ほぼ後世の改修ですが、ステンドグラスの一部は12世紀当時のものだそうなのです。
教会は無料ですが、王家のお墓と古いステンドグラスのある部分は有料になってます。

古い教会なので、現在北側外壁は修理中。未修理の南側は、彫刻がボロボロで、やはり定期的な修理は必要なんですね。
西側ファサードは修理済みのようで、よく見ると古い彫刻と、新しく彫られたらしいものが混じってました。
様々な職業を表した彫刻が興味深いです。ロマネスク時代より写実的で、わかりやすい図柄が多い気がします。

12世紀のステンドグラスは内陣周歩廊に沿って設置されてて、位置が低いので割と近くで見られます。
すごくきれいに洗浄されてて、まるで最近できたみたい。有名なエッサイの木(キリストをユダヤの王家末裔とする家系図)には
ゴシック教会をこの地に初めて建てたシュジェ修道院長が、この窓のミニチュアを掲げて、右下隅に描かれてます。
せっかくなので、拡大画像をつけてみました。5枚目の画像をクリックしてください。
(ついでに、カルカソンヌとディナンのステンドグラスにも拡大画像を追加してみましたので、よろしければ…)

王家の墓が並ぶ地下聖堂にも、きれいなステンドグラスがありました。窓ごとに少しずつ絵柄の違うアールヌーボーっぽい花柄。
いつ頃のものなのか、細かいグリザイユ(鉄粉を使ったガラス絵)が入って、エレガントで繊細で大変に美しいです。
教会のステンドグラスでも、新しいものはガラス絵になってないんですよね。やっぱり細かい細工が、個人的には好み。
こちらも拡大図をつけてみましたので、6枚目の画像をクリックしてみてください。


サンドニ大聖堂とカフェのカプチーノ  正面彫刻 ワイン作りとブドウ栽培   聖堂内部  12世紀のステンドグラス   エッサイの木  地下聖堂のステンドグラス

次はシャルトル大聖堂。パリ市内ではないですが、こちらにまとめました。シャルトルはパリから1時間くらいの古い街。
有名な教会で、外観もさすがの貫禄。ワクワクしながら中に入ったら…がーん、かなり大規模な修復工事中でした…涙
…まあ、ヨーロッパの古い教会ではよくあること。定期的なメンテは必須だし、全部見るなら、何度か通うくらいじゃないと…
でも、バラ窓3面のうち、南面が見られなかったし、両側の翼廊辺りに大きな囲いがあって、教会内部の造りがよくわからない状態。
有名なステンドグラスを1枚たりとも見逃すまいと、参考資料から窓の配置図をスマホで撮って持って行ったのに…涙

それでも半分以上のステンドグラスは見られたと思います。どれも素晴らしいもので…それだけに見逃した分が残念…!
こちらも代表的なところを、拡大画像付きでお送りいたします。北面のバラ窓とランセット(バラ窓は遠くてちょっとピンボケ)
内陣南側の「美しき絵ガラスの聖母」の窓、西面バラ窓下の3本のランセットの中央部分。
双眼鏡でのぞくとその美しさに、天に登るような気持ちになっちゃいますよ♪
今回の旅行で、ここだけが心残り…シャルトルには、他にも古い教会がいくつかあるのですが、時間がなくて見られなかったし…


シャルトル大聖堂西側正面    南側翼廊扉口付近      内陣は見られました    北面バラ窓とランセット  美しき絵ガラスの聖母   西面バラ窓下のランセット

最後はシテ島にあるサントシャペル。フランス王家が購入した聖遺物を安置するために作った、聖遺物箱だった教会です。
中に入ると、ほんとにほぼ全面がステンドグラスの窓で、石でできた教会とは思えません。ガラスでできた宝箱に入ったみたい。
他の教会とちょっと違って、個々の窓の図柄を強調せず、統一感を持たせて、堂内全体での光の美しさを強調している気がします。
その点ちょっと工芸品的というか、やはりこれは高価で巨大な宝箱なのでしょう。内部の柱やアーチや彫像もすごく装飾的な感じ。

教会としてはコンパクトなサイズと形で、ステンドグラスの写真は撮りやすかったため、全窓コンプリートに挑戦。
影になって撮れないところ以外は全部撮影しましたが、堂内が小さい分首の角度が急で、本気でムチ打ちになりそうでした…
一部をご紹介いたしますので、こちらもよろしければ、大きな画像も見てやってくださいませ。


サントシャペル       内部バラ窓周辺     彫像や燭台も華麗     大きな窓の光の競演                  ステンドグラス(部分)

おまけですが…ノートルダム大聖堂の現状をご紹介。ご存じのとおり、2019年の火災で屋根と鐘楼が焼け落ち、現在修復中。
内部はもちろん、囲われてて近くにも寄れませんが、観光客のため、工事の囲いに修復の現状や、大聖堂の歴史を展示してます。
正面近くにひな壇を設けて、ファサードの彫刻などが見られるようになってました。(朝行ったので、もろ逆光でしたが…)
最近の報道では、屋根組のトラスを作成中とか。しろ的には、ステンドグラスが無事だったのがほっといたしました。


   工事中のノートルダム大聖堂   脇に回ると、ほんとに工事現場   ひな壇から双眼鏡でファサードの彫像が見られます

最後に…よろしければ、今回の旅行の苦労話というか、愚痴を…

まずは、ドゴール・ミッションインポッシブル!
エールフランスで、羽田からドゴール乗り継ぎでトゥールーズでしたが、ドゴールで乗継便が突然キャンセル。
そして出発まで残り30分(!!!)のボーディングパスを渡されました。…えええ?入国手続きは?セキュリティチェックは??
もちろんそれらをクリアしながら、国際線ロビーから、国内線ゲートまで荷物を引きずり全力疾走!
汗だくヘロヘロで、何とかミッションクリアしましたが…これ、荷物を預けてたらどうなったんだろうと、後から青くなりました。
…それで早い便に乗れて、トゥールーズで観光できたのは、まあ良かったのですが…
エールフランス、予約後にも、便名変更の連絡を間違って「欠航」と連絡してきて、窓口電話が大騒ぎになってましたし
行きも帰りも席の充電用のUSBの口が死んでたり、英語を話さない乗務員がいたり…これもコロナの影響なんでしょうか。

それからもちろん、マクロン大統領の強行採決で大炎上の、年金改革法案反対デモ。国鉄はスト、ガソリン供給も滞るという事態…
まだまだコロナが心配で、実は今回もアパートメントホテル(長期滞在向けキッチン付きの部屋)を予約してました。
…しかし、フランスのアパートメントはほぼ民泊で、一般の方が副業でされてることも多く、フロントはなし。
そして、フランスの方は英語を話されないことが大変多く、メールの返事は英語なんですが、意味がよくわからないことも…
デモストのニュースをネットで読もうとしてわかったのですが、フランス語のgoogle翻訳、精度がいまいち…(deeplは大丈夫)
宿の返信のちょっと不思議な英語は、ほぼgoogle翻訳だったのですね。
このような状態で、ストで足止めされたら、ちょっと大変なことになりそうで、アパートメントはあきらめました。
結局は、良かったのか悪かったのか、全国ストはしりすぼみで、ストには遭わずにすみましたが…

というわけで、自炊もできなくなり、レストランはまだちょっと怖いしで、テイクアウトのお店を探したのですが
ネットで検索してもあまり見つからず…フランスではgoogleマップに載ってない飲食店も多いようですが
持ち帰りならやはりネットで宣伝するでしょうから、テイクアウトがあまり好まれてないのかも…、
結局、ほぼ毎日バゲットサンド食べてました。…パン屋さんのバゲットサンドは、どこでもおいしいのですけどね。
あと、フランスの飲食店の分類が、googleマップとちょっとずれているらしく、検索がとても難しかったです。
文化によってお店の形態が違うのは当然ですが、同じ単語(フランス語)でもいろんなお店が引っかかってくるのです。
検索結果を全部開いて、希望のお店なのか(商店なのか飲食できるのか、食べられるものの種類など)確認するのがちょっと面倒。

でも一番びっくりしたのが、今まで旅行したヨーロッパと、「カフェ」の定義が違うこと。
これまでカフェって、ケーキとコーヒーまたは紅茶の店、と思ってたんですが、フランスでは、コーヒーと軽食の店なんです。
ケーキはケーキ屋さんかパン屋さんにあって、ほぼイートインはなし。あっても紙コップのコーヒーでした。
ゆったりテーブルについて、温かい飲み物とおいしいケーキ、というのがヨーロッパ旅行の楽しみだったので、大変ショック。
でも、考えてみれば、日本でもケーキ屋さんにイートインがあるのは珍しいですよね。
今まで私が旅行してきた国(ドイツ、オランダ、イタリア、イギリス、チェコ、クロアチア…などなど)の方が特殊なのかも。
そういえば、ストラスブールのケーキ屋さんは、座ってお茶が飲めましたが、あれはドイツ文化圏だった名残なんでしょうね。

あと、困ったのは…パリの地下鉄がほぼ階段のみだったこと。エレベーターとか、あってもよほど探さないと見つからない感じ…
動く歩道とか壊れてたし…車内でも次の駅の電光表示が間違ってたりして、なかなか気が抜けません。地下鉄便利なんですが…
幸いにして、空港線の出る駅から1キロ半くらいのホテルだったので、最後は地下鉄は使わず、地上を荷物を引いて歩きました。
パリの地下鉄、ヨーロッパ主要都市にしては安いのです(2.1ユーロ)。…だからしょうがないと言えば言えるのかもですが…
鉄道駅でもエレベーターが見つからないことありました。…せめて空港線にはわかりやすい位置に設置してほしいのですが…
でも、あらためて日本の公共交通を見ても、エレベーターが遠すぎたり、英語の表示がないところたくさんありますし
これまで旅行してきたところが比較的便利だったのと、フランスは先進国のはず、という思い込みで、驚いちゃったんですよね。

こういうことに疲れるのも、年を取ったからだろうなあ…としみじみ。
でも、やっぱり行きたいところには行きたいし、見たいものは見たいので、また旅行は行こうと思います。
長い旅行記を読んでくださって、大変ありがとうございました。


6/19 パリのロマネスク教会

今回の旅行では、中に入ったものだけで、20個くらい教会及び元教会を見ました。パリだけでも10個近く。
以前ストラスブールで、双眼鏡で見た中世のステンドグラスの美しさにはまり、中世美術館で彫刻を堪能いたしました。
で、フランスに行くならできるだけ教会を見ようと思って、旅行前にも、ネットでステンドグラス画像を検索したり
書籍でもこれとかこれとかこれとか、ちょっと古いけどこんなの(Amazonに画像がない…)でも予習を…

というわけで、今回はパリ周辺の教会から、ロマネスクのものをご紹介いたします。
大きな街ではロマネスクの教会は少ないのです。街の発展と共に、ゴシックで建て替えられたのが多いので…
でも、カトリックの本場、パリにはたくさんの教会があり、ロマネスク教会も、一部ゴシックに改修されながらも残ってます。

まずは旧サンマルタンデシャン教会。こちらは現在は工学博物館の一部になってます。
敷地内は公園みたいになってて、薔薇が見頃でした。ロマネスクといえば、丸くてかわいい後陣がお気に入り♪
内部は、周歩廊部分は白く、残りは彩色されてます。ロマネスクの時代は、教会は極彩色に塗られていたそうですが
19世紀に”イメージ”で復元されたことが多いようで、こちらの復元が歴史的に正しい彩色なのかはよくわかりません。
工学博物館なので、身廊部分にクラシックカーや昔の飛行機などが展示されてました。
それはいいのですが…イベント会場にもなってるようで、周歩廊にスクリーンが設置されてたのが、ちょっと残念。
別棟に、近世の工学機器や、近代の自動楽器などが展示されてましたが、そちらは時間がなくてあまり見てないです。


旧サンマルタンデシャン教会後陣               内陣周歩廊部分          柱頭の彫刻     彩色された内陣部分    身廊部分は展示スペース

次はサンジュリアンルボーブル教会とサンジェルマンデプレ教会。
サンジュリアンルボーブルは、シテ島近くの小さな公園の隣にある教会です。小さな教会で、やはり丸い後陣が可愛いです♪
こちらはカトリックでも、東方カトリック。(ウクライナ西部に多い宗派だと、最近のニュースで知ったばかり)
なので、祭壇などは正教会風です。ロマネスクの彫刻と並んでると、ちょっと不思議な眺め…

サンジェルマンデプレは割と有名なのではないかと。サンジェルマン通りとかカルチェラタンとか、パリの名所みたいですし。
こちらも隣に小さい公園がありますが、こういうのは、昔は教会の敷地だったのでしょうか。
天井はゴシックに改修されてますが、柱やアーチはロマネスクのままですね。そしてやはり華麗な彩色…
柱頭の彫刻の模様が塗り分けられてるのは面白かったです。ロマネスクの不思議な彫刻が引き立ってました。
植物文様や聖人像、羊とかはわかるけど、どう見てもキリスト教と関係なさそうな怪物や動物は、いつもながら不思議です。

こちらでは、たまたま夕方のミサに遭遇しました。鐘が長く鳴ってるなあと思ったら、信者さんが集まってこられて
実はルーブルで大変に迷って疲れた後だったので、そのまま座ってたら、賛美歌が始まりました。
古い教会ですが、音響はとても良くて、歌ってたのは一般信者さんばかりですが、とてもきれいに響いてました。


サンジュリアンルボーブル教会 ロマネスクのかまぼこ屋根 柱頭の彫刻と正教っぽい祭壇   サンジェルマンデプレ教会 内壁はロマネスク、天井はゴシック ピカソを思わす動物群

最後はモンマルトルにある、サンピエール教会とサクレクール寺院。
丘のてっぺんにあるサクレクールは有名ですが、隣に小さなロマネスク教会もあるのです。しろの行きたかったのはこちら。
丘を登って、巨大な寺院の脇の道を行くと、壁の向こうにロマネスクの後陣が見えてきます。(やっぱり丸くてかわいい♪)
とてもシンプルで美しい古い教会です。ただ、ちょっと暗くて、柱頭の彫刻がよく見えない…
柱の一部はローマ時代のものだとか、内部を貴族と一般人で分けてた時代の名残が残ってるとか、いろいろ興味深かったです。

隣のサクレクール寺院も一応ネオロマネスク。(寺院…と言われてるけど、他のBasiliqueはあまり寺院とは訳されてないような…
フランス語の教会の分類もよくわかりません…バシリカ式には見えない教会もあるし…どなたかご教授ください…)
ネオロマネスクとビザンチン様式の折衷だそうです。隣のサンピエールに比べて、内部も巨大です。
テラスからの眺めは素晴らしいです。脇の階段を降りると、有名なモンマルトルの階段に続いてます。


左がサクレクール、右がサンピエール  サンピエール教会後陣  ロマネスクな身廊と側廊  柱頭彫刻(暗くてボケボケ)    丘の上のサクレクール寺院    荘厳な内陣

次回は、パリのゴシック教会です。


6/17 パリの美術館

パリでは一応、美術館とかも行きました。ヨーロッパ古典絵画好きなので、もちろんルーブルにも…
…いいですよね、ルーブル、広くてたくさん絵があって…いいんだけど…まあ、いろいろありまして…涙


砦だった頃の基礎部分 ダヴィンチ 岩窟の聖母子(部分) ハルス パウルスファンベレステインの肖像(部分) デューラー アザミを持つ自画像(部分) ホルバイン エラスムスの肖像(部分) メムリンク オリーブの枝を持つ天使(部分)

もとは古い宮殿を、建て増し建て増ししてできたルーブル美術館、古いので常にメンテナンスが必要なのはわかります。
現在修理等で閉鎖してるところはHPにも載ってますしね。そして建て増しで、広大かつ、内部が複雑なのも仕方ないこと…
でもあんまり複雑すぎて地図に反映させるのを放棄してるのか、配布されてる地図は簡潔すぎて、全く内部がわかりません。
地図では長四角の一棟の真ん中に階段マークがあるだけ、でも実際の階段ホールは、展示室から脇の小部屋を抜けたその先…
行きたい展示室が見つからず、監視員さんに聞くと、そこを右に曲がるのよ、すぐそこよと。
はい、いったん左に曲がって、壁の向こうをぐるっと回り、右に曲がるとありました。確かに大まかにいえば、右方向ですね、ええ。
おまけにメンテナンスで閉鎖されたところが通れず、いったん階段を降り、下の階を移動し別の階段を上って戻って来いと…
それぞれの階段がまたすぐには見つからず…それに、古いすり減った石の階段は滑りやすくて、焦ると転がり落ちそうだし…

係の人も、ある人は英語ができず、ある人は更問いには絶対答えず、答えが間違っていることも頻繁で…
「この展示を見たいんですが…」「ああそれは1階下だよ」「(それは知ってる)階段が見つからないのですが…」「知らないなあ」
…疲れた私の脳裏には「ルーブルには愛がない」という言葉が浮かびました。(…東京でやってるルーブル展のコピーのもじり)
別の人に聞きましたが、それも間違ってて、何とか自分で辿り着きましたが…
その他、数少ないエスカレーターは故障で止まってるし、エレベーターも使い方がよくわからないし…
図書館で本を借りて見たい絵をリストアップしてたのですが、なんかもうそれどころではなくて…涙

ルーブルって、学生時代の周遊旅行でも行ってて、そのときのことを思い出すと…やっぱりぐるぐる迷ってたなあ…
ヨーロッパの美術館見たのは、ルーブルが初めてだったのです。巨大な展示室にずらっと並んだ大きな絵や
そこそこにある「教科書で見た有名絵画」に圧倒されて、それで満足した気がします。…で、疲れて、割とすぐ帰ったような…
ルーブルって、こういうフツーの観光客か、そうでなければ、地元で何度も通うような人に向けた施設なんでしょうね、きっと。
職員も地図も、そのつもりで整備されてるのでしょう。

1日しか行けないなら、行かない方が良いと、絵画好きの身内の者が以前言っておりましたが、正解だと思います。
もちろん、一応、ダヴィンチを何枚かと、オランダ絵画や、フランス中世美術、地下の砦跡などを、見ては参りましたよ。
でも、行きたいところに行きつけない疲労とフラストレーションで、あまりちゃんと鑑賞できず…多分もう行かない。

今回もう一か所行ったのが、クリュニー国立中世美術館。かつての修道院長のお屋敷を使って、中世美術が展示されてます。
こちらはちゃんと、初めてでも普通に見て回れますよ。そんなに広くないので、迷ったりもしません。(笑
お屋敷のチャペル部分や、それ以前にあったローマ遺跡などが、そのまま展示されてたり
革命で壊されたパリの教会の聖人像が修復されて並んでるほか、祭壇彫刻、祭壇画、ステンドグラスなどのキリスト教美術
有名な「貴婦人と一角獣」ほかのタペストリー、武器や鍛冶道具、チェスの駒など、中世の上流階級の生活などが展示されてます。


 チャペルの装飾  貴婦人と一角獣「聴覚」(部分)と犬の部分の拡大  16世紀のタペストリーの水辺の鳥の部分 ステンドグラス 受胎告知マリア部分15世紀 聖母子像1500頃

「貴婦人と一角獣」は五感を現したというちょっと不思議な図柄の6枚シリーズのタペストリー。
その他にも、豪華なタペストリーがいろいろありました。…でも、布物の展示ってやっぱり暗くてよく見えないのが悲しい…
イギリスでも見ましたが、タペストリーの背景って、可愛いですよね。お花と小動物がいっぱいで…
他の中世の絵に出てくる動物って、リアル系の狩りの獲物や猟犬が多いのに、なんでタペストリーはこんなに可愛いのでしょう。
暗いところはスマホの方がピントが合うのですが、望遠が付いてないので、上の方の鳥とかがきれいに撮れず、残念…
ショップには、可愛い小動物部分を集めた絵葉書をたくさん売ってました。可愛いのでつい購入…

あと、カトリックの国で中世といえば、宗教美術が多いのはわかるのですが、生活品もほぼ貴族のものばかりなんですよね。
日本語では美術館ですが、言語はMuseeですから、もっと中世全般についての展示があるかと思ったのですが…
美術品も大好きですが、歴史も好きなので、ちょっと物足りない気がしました。

次はパリ周辺の教会を2回に分けて…すいません、まだしばらく続きます。


6/12 モンサンミシェル その2

すみません、ちょっと間が空きましたが、モンサンミシェルその2は、修道院編です。
修道院はツアーでしか見られないところがあるので、英語のツアーに参加してみました。実は予習はツアーのためでした。
…ガイドさんの英語が知ってることしか聞き取れなくて…勉強しておけば、少なくともその部分は理解できるので…(涙
2時間のツアーの前後に3時間くらい自分でも見て、写真撮ったりしてたので、見学後はかなりヘロヘロ…(お腹もぺこぺこ)
でも、充実した見学でした。歴史のある建物って、やっぱり面白いですね。

もともと岩山の上に建てた礼拝堂が、どんどん大きくなって、現在の壮麗な修道院建物群になったわけですが
現在残っている一番古い礼拝堂でも、伝説での設立期よりかなり後だそうで、最初の礼拝堂は見つかってないようです。
ほぼ三角形の岩山の上に大きな教会を建てるため、岩山頂上の東西南北に小さい礼拝堂を建てて、十字架型の土台にしてます。
つまり、教会の中心は岩山の頂上、左右の翼廊、身廊入口付近、後陣は、それぞれ地下礼拝堂の上に乗ってるんです。
でも、地下礼拝堂といっても、岩山の中腹なので、地上よりはかなり高いところにあるんですけどね。
教会の北側に、メルヴェイユ(驚異という意味)という大きな建物があって、修道院の回廊や高位の巡礼者の接待施設があります。

さて、島の城門からグランリュを道なりに上っていくと、修道院の入口に着きます。この入り口の階段が島で一番急かもです。
そこを登ると2つの塔のある門衛の部屋があり、昔も今も、ここで訪問者のセキュリティチェックをしてます。
更に、教会・礼拝堂の建物と、南側の城壁を兼ねた僧房が連なる間にある、長い階段を上がります。
今年は修道院開びゃく1000年とかで、歴史展示パネルが、階段のあちこちにありました。
階段の上に雨水の貯水池があったので、踊り場に水場があります。あと、岩山の一部が露出してるところも見られます。

階段を登りきると教会の入り口前の広いテラスに出ます。テラスの大部分は昔は教会の身廊でしたが、火事で一部倒壊し
お金がなかったので、身廊を短くして修復したのだとか。教会は何度か火災や倒壊に遭っているそうです。
落雷も多かったそうですが、近代になって、避雷針を兼ねた聖ミカエル像を立てて、現在は被害はなくなったとのこと。
テラスからは干潟や海が見渡せます。島で一番見晴らしの良い場所かもです。(ツアーの集合場所でもありました。)
テラスの床の石にアルファベットや記号が彫り込んであるのは、石工のサインで、石工はサインの数で報酬をもらっていたとか…


階段の上が修道院入口    テラスに続く長い階段    階段脇の水場    踊り場に顔を出す島の基盤の岩       広いテラスからの眺め      石工のサイン

教会は、身廊部分はロマネスク、内陣はゴシックです。これも内陣が倒壊して、ゴシックで建て直したのだとか。
(ついでに言えば、火事のあと修復されたファサードは新古典様式。
古い教会に新古典様式のファサードって、ときどき見かけるけど、なんかのっぺりして、個人的にはいまいち…)
ロマネスクとゴシックが混在する教会はよく見ましたが、この教会も交差部から突然ゴシックになって、ちょっと不思議な感じ。
交差部に立って、縦パノラマで身廊から内陣にかけての天井を撮ってみました。様式の違いがわかりますでしょうか。
教会の中には、モンサンミシェルの歴史の映像上映や、島の模型などが展示されていました。
観光客も参加できるミサをやってましたが、ツアーと重なって見られませんでした。教会の音響を確認したかったのに、残念。


雷から修道院を守る聖ミカエル像 テラスと教会ファサード  ロマネスク身廊  交差部と、上がゴシック下がロマネスク  ゴシック内陣  ロマネスクの翼廊にゴシックの窓

地下礼拝堂。巨柱の礼拝堂、聖マルタン礼拝堂は通常見学、聖母30本蝋燭礼拝堂と地下ノートルダム礼拝堂はツアーで見られます。
北から時計回りに、まず聖母30本蝋燭礼拝堂。こちらで生活する修道士の方たちが、内輪のミサをされてるようです。
東の巨柱の礼拝堂は上部の教会の内陣と同じ形です。内陣の柱がここから立ち上がっているそうで、内部は太い柱がぎっしり…
この太い柱の芯に、ロマネスクだった頃の内陣の柱が埋まっているのが、最近科学調査で分かったそうです。
南側が聖マルタン礼拝堂。ロマネスクのシンプルな礼拝堂です。

西側が一番古い地下ノートルダム礼拝堂。プレロマネスク様式で、小さいレンガを重ねて建てられています。
…ここ、暗い上構造が複雑で、ツアーで案内されても構造がよくわかりませんでした…。礼拝堂が2段になってるのは
礼拝対象の聖遺物を盗まれないためだそうです。教会同士の聖遺物の取り合いが激しく、盗難や闇取引が横行したそうで…
地下礼拝堂には壁や床に壁画が描かれてますが、19世紀の修復時にイメージで描いたもので、オリジナルではないそうです。

最後の画像は地下牢。ここもツアーで見られます。中は暗くて狭くて、写真は何だかわからないものしか撮れませんでした。


聖母30本蝋燭礼拝堂     巨柱の礼拝堂     聖マルタン礼拝堂   地下ノートルダム礼拝堂の2重の祭壇と通路の奥のイメージ壁画   地下牢の入り口

見学ルートの脇に小さいお庭を見かけました。現在の修道僧の方が育ててる菜園があるようですが、これがそうなのかは不明…
修道僧の納骨所だった場所に、近代になって(牢獄になった頃?)巨大な回し車が設置されました。
囚人が中に入って車を回し、南側の壁の長いスロープを引きずって、荷物を上げていたそうです。
現在、ほぼ同じ位置に荷揚げ用らしいケーブルが設置されてるのが、ちょっと面白かったです。

教会の北西側に修道士の散歩道という名前の部屋があって、ロマネスクからゴシックに移る時代のものだそうです。
ヴォールトの立ち上がりがずれてたり、建築に稚拙な部分が多いのだとか…
修道院には瞑想しながら散歩する回廊がつきもので、モンサンミシェルではメルヴェイユにゴシックの回廊があるのですが
それ以前は、こんな薄暗いところで瞑想してたのかと、ちょっと昔の修道士が気の毒になりました。


修道院菜園(?)   囚人が中に入ってまわしてたとか   鎖で荷物を上げます   右が昔のスロープ、左が今のケーブル   修道僧の散歩道

さて最後にメルヴェイユ、こちらはすべてゴシックの建物です。下の階には広い貴賓室と騎士の間。
貴賓室は今は殺風景ですが、昔は壁画やタペストリーで飾られていたのだとか。大きな暖炉で賓客の食事を作っていたそうです。
(…そういえば、見学コースに台所がないんですよね。修道士や使用人の食事を作る場所があったと思うのですが…)
隣は騎士の間と言われてますが、実は書写室です。広い部屋に書写台が並んで、修道士が写本を作っていました。
写本作成は重要な業務で、手が凍えないように、ここにも暖炉があります。モンサンミシェルの蔵書は有名だったそうですが
かなり散逸した上、革命の混乱を逃れて、現在は別の場所に移されているそうです。

上の階には食堂と回廊。食堂は入口までで、中には入れませんでした。(多分、外壁が修復工事中なため…)
長い部屋に、細長い窓の並んだ、簡素で美しい食堂です。修道院では、聖書の朗読を聞きながら、黙食していたそうです。
回廊は、いわば屋上庭園。緑が濃くて、ここが岩山のてっぺんとは思えません。装飾の彫刻も繊細で美しいです。
ここも修復工事が終わったばかりで、以前は修道院の薬草園を模した植込みがあったのですが、今は野の花が咲いてます。
…実はネットで見た秋冬の画像は茶色の地面で、瑞々しい緑と可愛い野の花に大変ほっとしました。今の季節で良かった…
回廊の窓から下のお庭が見えます。ここにも建物を建てる予定が、予算不足でとん挫したそうです。
このお庭部分は入れませんが、その脇に見学コースの出口への道があり、メルヴェイユを見上げながら帰り道を辿ります。


       貴賓室        書写室(騎士の間)          食堂       回廊   メルヴェイユ西側のお庭 帰り道から教会とメルヴェイユを見上げる

長々と失礼しました。でもしろ的には、ずっと行きたかったモンサンミシェルを堪能できて、ほんとに良かったです。
興味深い修道院も、階段ばかりの島の不思議な景色も、朝、昼、夕方、夜と表情を変える島の眺めも、素晴らしかった…!
(ただ…滞在中、ご飯が何もかもおいしくなくて…それだけがちょっとつらかったです。大きな街からかなり離れてるし
島は小さくて、観光客はいっぱいで、しょうがないと思うのですが…有名な高級オムレツならおいしいのかなあ…)

次は、最終目的地、パリに向かいます。


6/7 モンサンミシェル その1

さて、いよいよ、この旅、一番の目的、モンサンミシェルです。
一番なので、2回に分けて書くことにしました。(すいません、長くて・笑)まずは、モンサンミシェルの島についてです。
旅行前は、はりきって予習もいたしました。参考資料にしましたのは、書籍ならこちら
テレビだと、地形などについてはこちら、観光ルートならこちらこんなのもありました。
でもやっぱり、現地で購入する書籍の方が詳細ですよね。…たくさん買ったので、まだ全然読めてませんが…

モンサンミシェルへは、レンヌから専用バスで1時間ちょっと。到着するのは島まで約1.6q程の、ホテル街のバス停です。
島といっても、現在陸側との間にあるのは、干潟と、もと干潟だった草地。ただし、満潮になると水没することもあるようです。
今はほぼ陸地ですが、砂の堆積が少なかった昔、巡礼者がよく干潟に足を取られて溺れて死んだという伝説があります。
(本当の話なら、巡礼地としてはなんだかなあと、無神論者のしろなどは思っちゃいますが…)
満潮の時間に島の見晴らし台から見てましたが、城壁の一部が水につかる程度。現在はなかなか水没まではしないようですね。

現在は、島まで橋になった道路が設置され、無料送迎バスか、徒歩で島まで向かいます。
あまりに眺めが素晴らしく、バスを待つより、つい歩いてしまいます。(行きはほぼ歩いてました。帰りはバス。)
橋にはこのバス他許可された車両しか入れないので、車で来た方も、ホテル街の駐車場に止めて、バスに乗り換えます。
自動車道脇の歩道も良いですが、もと干潟の草原に観光客によるけもの道ができてて、天気が良ければこちらの方がおすすめ。
だんだんと近づいてくるモンサンミシェルを見ながら、潮風に吹かれて草地を歩けて、ほんとに素敵なお散歩道ですよ。

これらの道は、干潟を流れるクエノン川と並行してます。ホテル街の出口に、この川に架かる堰があります。
以前、橋ではなく埋め立てた道路だった頃、潮の流れが変わって堆積する砂が増え、モンサンミシェル周辺の陸地化が進みました。
それで、道路を橋にして、川の流れを堰で管理して、堆積した砂を海に流しているところだそうです。
堰の仕組みがプレートで表示されてますが、なぜそれで砂が流れるのかはよくわかりませんでした…
でも、実際に砂は減って、海に囲まれる時間が長くなっているそうです。周辺の環境にも良いのだとか…

モンサンミシェルの地盤は海に突き出している花崗岩の岩塊で、この地域にはそういう島がいくつかあるそうです。
その一つが、モンサンミシェルの北に2.5qくらいのところにある、トンブレーヌという岩山で
100年戦争の頃に、ここにイギリスが砦を築き、睨み合っていたそうです。(干潟が邪魔をして、戦闘にはならなかった模様。)


 モンサンミシェル全景    左手がクエノン川、細いのがけもの道、右側はバス道に続いてます  川に架かる堰  城壁から見たトンブレーヌ島(右側奥)   満潮で波を被る塔

100年戦争では砦でもあったというモンサンミシェル。海に囲まれてるだけではなく、城壁も城門も強固です。入口の門は何と3重。
2番目と3番目の門の間にあるのが、オムレツ(単品で45ユーロ!)で有名なラメールプラール。泡立ててるところは見るのは無料です。
3番目の門をくぐると、島唯一のメインストリート、グランリュです。全然グラン(大きい)ではなくて、細い小道ですが
カフェやお土産屋さんは、ほぼここにしかなくて、小さなお店とたくさんの観光客がせめぎ合ってます。


1番目のアバンシー門     2番目のブールバード門    スフレオムレツ泡立て中   3番目の王の門   グランリュ(入り口付近)  この辺りから道は階段になります

城壁は、修道院の裏側は修道院の見学コースですが、他は自由に歩けます。城壁の塔も残ってます。
北の塔は見晴らし台になってますし、砦の内部が見られる塔もあります。城壁から見上げる修道院は、これも絶景です。
島の南側を西に進むと、ガブリエル塔から城壁の外に出られます。この先は岩場でかなり足場が悪いですが
島の西側を回っていくと、修道院の開祖オベール神父の名前の付いた礼拝堂があるらしいです。(私は行ってません。)
城壁巡りをした日はお天気が良かったので、大変楽しかったですが、カルカソンヌ以上に階段が多いので、雨の日は大変かも。


見晴らし台の北の塔   階段の先が砲台だったバス塔   リベルティ塔の内部   城壁から見上げる修道院  城壁から見た王の門の塔  ガブリエル塔、右手に降りると岩場

今では観光客向けのお店が並ぶ島ですが、中世にも巡礼者の世話をするために人が住み、村がありました。
歴史ある村の教会は島の中腹にあり、やはり聖ミカエル像が飾られてます。
そして入口にはなぜかジャンヌダルク像。島が100年戦争の砦だったためとか。(ジャンヌはこの島には来てないと思うんですが…)
教会の裏の墓地は、お花でいっぱいでまるで庭園のよう。平地の少ない島なので、お庭の代わりに手入れされてるのかもですね。


村の教会の鐘楼   階段の上というより、階段の途中にある教会   教会内部      銀の聖ミカエル像       ジャンヌダルク像      花園のような墓地

街の中は狭い通りと階段ばかりで迷路みたいです。でも意外に緑が多いのが印象的でした。
古い石畳も石段もとても美しく、そこに木組みや石組みの家が並んでいます。
修道院の石壁を見上げながら狭い階段をのぼり、干潟を見下ろしながら城壁を巡るのは、不思議で貴重で素敵な体験でした。


城壁から干潟を見下ろすカモメ  城壁から見える中庭   城壁からグランリュへの階段   グランリュの土産物屋   階段の途中の扉     階段が続く島の裏道

夕方になったら、いったんバスでホテル街に戻り、晩ご飯を食べてからまた島まで歩きました。
2泊したのですが、それぞれ、夜と夕暮れのモンサンミシェルを体験してきました。

バス道の西側は川が流れてますが、東側は広大な干潟と草地。そこを海まで歩くと、夕日に逆光のモンサンミシェルが見られます。
…ここもけもの道なんですが、西側よりかなり足場が悪いです。ガレ場や水たまりがたくさんあるので、行かれる方は自己責任で…
でも、ここから見る夕景は、まさに絶景です。雲が夕日に映えて水面に映り、島のシルエットが浮かび上がります。
観光客も結構いて、みなさんスマホやカメラで撮影されてました。三脚に長い望遠レンズのガチの方も…(足場悪いのにすごい…)
でも、さすがに干潟で真っ暗になっちゃうと、ほんとに転んでけがしそうなので、落日すれすれでこの日は引き上げました。

もう1日は、実は油断してちょっと夕日には遅くなっちゃって…でも、バス道脇の歩道なら暗くても安全に歩けましたよ。
モンサンミシェルってライトアップが有名なんですが、画像を見て(あれっ)と思った方もいらっしゃるかも…
実は、コロナで資金不足で、なんと訪問した時点では、ライトアップ中止中。…でも、私はこのライティング、結構好きです。
灯ってる明かりは街灯で、島の中を歩けるんですよ。私は怖くて上がれませんでしたが、城壁の上も歩けるようでした。
ちょっと生活感のあるライトアップというか…。まあ、昔の松明やランプがこんなに明るいわけはないんですけど
でも、昔のモンサンミシェルの夜の通りを歩いてるみたいな気分に、ちょっとだけなれて、これはこれで貴重な体験でした。


   夕暮れのモンサンミシェル         もと干潟の草地       夜のモンサンミシェル   王の門と、左手は城壁への階段  灯りのともる夜のグランリュ

2回目はモンサンミシェルの修道院についてです。


6/5 ディナン

ディナンもブルターニュの古い街です。レンヌから鉄道で1時間から1時間半。同じ地方なので、街並みはヴィトレに似てます。
私はこういう街が好きなので良いのですが、人様に写真をお見せするとなると、ちょっと印象が被っちゃってるかも…
すみません、サンマロとディナンの方が良かったかもですね。私も、サンマロだったらディナンまでバスで近かったんですけど。
(これもまあ、マクロン大統領の年金法案強行採決による全国ストのせいということで…笑)

でもディナンの方がヴィトレより観光地としては有名みたいです。城壁がかなり残ってるのもポイント高いです。
中世にはレンヌやナントと同じくらい繁栄した商都だったとか。旧市街には当時を忍ばせる美しい家がたくさん残ってます。
時計塔が見晴らし台として復元されてて、螺旋階段を昇り詰めると、てっぺんからディナンのランドマークが一望に見渡せます。


時計塔          ディナンのランドスケープ 真ん中の塔がサンソヴール大聖堂 右手の四角い屋根は修道院

ディナンには川港があるのも特徴で、城門の一つをくぐり、谷へ続く急坂を降りると、今は岸辺にレジャーボートが並んでます。
中世にはここに交易のための舟や倉庫が並んでたのでしょうね。
川に続く坂道は、可愛い古民家が並んでることでも有名です。しろ的には大変好みで、嬉しくて飛び跳ねちゃうくらいでした♪
坂の一番下にあったお菓子屋さんで、クイニーアマンを買って、ベンチでお昼ごはん。これも絶品でした。
フランスの地方都市の手作り伝統菓子に、外れなしですね!


  ディナン中心部の街並み           奥の城門から川へ続く坂       お花でいっぱいの可愛い家々           かつての川港

こちらが街を囲む城壁、城門です。…実は城壁の上を歩く遊歩道が整備されてるのですが、現在修復中…(が〜〜ん)
修復現場をのぞいたら、職人さんが石組を確認して組み直してました。文化財と安全を守るための、大切な工事なんですよね…(涙)
でも、城門は大体くぐれましたし、城壁も見られるところがたくさんあります。
一番よく残ってるのはお城に続いている西側の城壁で、下が公園と駐車場になってるので、壁がよく見えます。
大小の塔や塔に付属した螺旋階段、小さな扉など、大変興味深いですし、石組に絡むツタや野の花も古色があって良い感じです。


    ボーアノア塔        サンマロ門         城壁の修復現場       西側城壁          西側城壁、奥はコンスタブル塔

ブルターニュ公のお城は、城壁でつながった2つの塔で(片方は屋根がなくなってます)、博物館として公開されてます。
当時の高級貴族の生活が、復元とパネルで展示されてます。実は時間がなくて、展示を全部見られず、残念…

大きな教会は2つあって、まずはサンマロ教会、華やかなゴシック様式で、16世紀初頭の建築だそうです。
ステンドグラスは新しいものですが、一番大きな、聖母戴冠図とか見事でした。
個人的に、ステンドグラスは古ければ古いほど好みなんですが、近代のものとかでも凝ったものは結構好きです。


   ディナン城     手前の主塔から城壁を隔ててクエケン塔       謁見の間とその復元図           サンマロ教会     聖母戴冠図のステンドグラス

もう1つのサンソヴール大聖堂、ファサードを見ると下がロマネスク、上がゴシックなんです。
内部も、南側がロマネスク(側廊なし)、北側がゴシック(側廊あり)と、まるでパッチワーク。
その上、ロマネスクの壁にゴシックのチャペルが出窓のように建て増しされてます。
ロマネスクからゴシックへの建て増しが、宗教戦争や資金不足で、途中で頓挫したようですが、こんな教会初めて。
でも、この建て増し感が何ともいえない味わいがあって、今回訪れた教会でも、指折りのお気に入りです♪


   サンソヴール大聖堂       ロマネスクの壁にゴシックチャペル  内側から見たところ  西側扉口のロマネスクのアーチ  福音書記者ルカの象徴 有翼の雄牛

次はいよいよ、モンサンミシェルに参ります。


6/4 ヴィトレ(…とレンヌ)

というわけで、アングレームからパリ経由で、レンヌに入ったわけですが、じゃあレンヌ観光はというと…
すみません。実はしてません。…レンヌより、周辺の小さい街に興味がありまして…
レンヌは駅前のホテルに泊まって、すぐ近くのおいしいパン屋さんでご飯を調達していただけです。
でも、こちらのパン屋さん、キッシュやサンドイッチがとてもおいしいのでお勧めです。お菓子も売ってますよ。
あと、レンヌはブルターニュの鉄道の結節点なのですが、さすがに駅は凄く新しくて、ピカピカでした。


駅前広場の向こうに未来建築なレンヌ駅        レンヌ駅前              お世話になったパン屋さん

で、ヴィトレなのですが、レンヌから鉄道で30分くらいの、小さくてきれいな街です。
観光地ではありますが、それほどは観光化されてなくて、でも古い家がたくさん残っていて、お城や教会も素敵でした。
ノートルダム教会は小さいけど華やかなゴシック様式で、ステンドグラスも近世以降ですが、凝っていてきれいでした。

行った日はお天気が良くなくて、街の写真がきれいに撮れなかったのが、ちょっと残念。
この辺りは雪が多いのでしょうか、アーケード付きの古民家が多く、その下で雨宿りしたりしてました。
ブルターニュの風俗は詳しくないですが、石造りや木組みの家の他、急勾配のスレート葺きの屋根が多かった気がします。
お城の上から街を見下ろすと、南仏とは屋根が色も形も全然違って、ヨーロッパでも北寄りの方に来たんだなあと実感しました。
すてきなお菓子屋さんを見つけて、とってもおいしいガレットブルトンヌを購入。本場のブルターニュ菓子、おいしいですねえ!


お城から見たヴィトレの街    ノートルダム教会     街の古いお屋敷    アーケードのある古民家    折れ曲がった小径     木組みの家々

ヴィトレ城は、歴史上、城主は次々変わったようで、近世には牢獄になってたこともあるとか。
現在はきれいに修復されて、一部は市庁舎として利用されてるようです。博物館部分ではブルターニュの貴族の部屋の再現展示や
一部は美術館になっていて、行ったときには、昔のヴィトレを描いた絵画が展示されてました。
石組みがとても美しく、市庁舎の棟の階段やアーケードなど、ルネサンスあたりの復元でしょうか、素晴らしくエレガントです。
一方、一部に素朴なロマネスクっぽい建物も残ってたり(現在修復中)、いろいろ楽しめる素敵なお城でした。


   ヴィトレ城前景(城門付近)       美しい石組の階段          アーケード     19世紀の貴族の部屋の復元  ルイ・ロティエ ヴィトレの城と街の眺め1860(部分)

お次は、やはりブルターニュの古い街、ディナンです。


6/3 アングレーム

今回訪れた中で一番観光地ではない、アングレーム。…なぜここに宿泊したかと言いますと…
カルカソンヌからモンサンミシェルに行きたかったのですが、モンサンミシェルには鉄道アクセスがありません。
直通のバスが出てるのはレンヌかサンマロのみ。サンマロは海沿いのウォーバン要塞の街、ちょっと行ってみたい…
でもサンマロはカルカソンヌからかなり遠いです。直線距離もですが、鉄道がパリ経由なので、さらに時間かかります。
途中で一泊…パリはホテルが高いし、経路沿いで滞在費の安くて面白そうな街はと探してたら、アングレームを発見。
googleの航空写真で旧市街の形(城壁による境界)が残ってますし、昔の街並みや古い教会も見られそう…で、ここに決めました。

ところが、フランス中で年金改革反対の鉄道ストがはじまり、アパートメントホテルから普通のホテルに宿泊を変えようとして
サンマロだけ適当なホテルが見つからず、結局サンマロを諦め、レンヌに変更…
レンヌならぎりぎりカルカソンヌから1日ですが、予約済みの交通機関をなるべく活かすため、他の旅程は残すことに…

というわけで、紆余曲折で偶然滞在したアングレーム。ほんの数時間の観光でしたが、意外にもすごく楽しかったです。
平地の中の巨大な岩盤の丘が、そのまま旧市街の城壁の形になってます。駅はふもとにあるので、旧市街まですごい坂。
難攻不落な城塞都市だったことが偲ばれますが、カルカソンヌなどよりずっと規模が大きく、中世なら大都市だったでしょう。
城壁はあちこちに残っていて、公園や見晴らし台になってます。時間がなくて一部しか見られなくて、残念。
城壁付近から平野を見下ろす眺めがすごいです。緑の沃野が一望に見渡せます。


ネオゴシックの市庁舎    公園になってる城壁跡                   丘の上からの眺め                こちらも城壁跡

古くて巨大なアングレーム大聖堂。19世紀の改修でオリジナル部分は少ないけど、ファサードはかなり残ってるそうです。
併設された博物館の庭から見える、ロマネスクの後陣はほぼオリジナルとか。立派な鐘楼は、2階以上は19世紀の復元です。
中世大都市に相応しい巨大なファサードの彫刻が有名で、双眼鏡でのぞくと、動植物文様や聖書の図柄が興味深いです。
動物と植物が絡まる文様を見ていると、アールヌーボーやイギリスのアーツアンドクラフツの源流を思わせます。

やはり歴史の古いサンタンドレ教会、こちらは小さいですが、内部は何度も建て増しされて複雑でした。
こちらも裏に小さなお庭があって、昔の礼拝堂の跡(翼廊部分?)が残されてます。
他にも郊外に小さなロマネスクの教会などがあるらしく、時間がなくて行けなかったのが、これも残念でした。


アングレーム大聖堂     お庭から見た後陣と塔        ファサードの彫刻(部分)          サンタンドレ教会     お庭の礼拝堂跡

次は、レンヌの近くの小さな街、ヴィトレです。


6/1 城塞都市カルカソンヌ

二重の城壁に囲まれた城塞都市カルカソンヌ…むかーし旅番組で見て以来、一度行ってみたいと思ってました。
カルカソンヌが異端カタリ派の拠点だったのも、カトリックに敗れて、フランス王のお城になったのも知ってました。
あれだけの城塞なんだから、さぞ十字軍も苦労したんだろう…とずっと思ってたのですが
例の参考資料を読んだら、十字軍戦役のかなり初めの方であっさり落城し、その後は十字軍の前線基地になってたとか…
えええええ…大きな図体して不甲斐ないぞカルカソンヌ!…と思ったのですが、その後は十字軍側で難攻不落を誇ったので
こんな大きな戦には領主が若すぎた(当時25歳)からかもしれませんね。(この子爵様は十字軍に降伏後、獄死してます。)
ピレネー北側はスペインが近く、フランス王は重要拠点として欲しかったらしいです。
城壁を二重にしたのは王家だったそうです。十字軍の頃はどんな姿だったのか興味ありますが、今の姿からは想像できない…

城塞はオード川沿いの小高い丘の上にあり、川に架かる古い石橋の上は絶景ポイントです。
泊ったホテルは丘のふもとでしたが、上の階に小さな屋上テラスがあり、そこから城塞が間近に見えました。
夜はライトアップされますが、橋の辺りまで遠ざからないと見えないので、泊ってる建物から見られたのはラッキーでした♪


ホテルのテラスから見た城塞都市カルカソンヌ(昼間と夜のライトアップ)

城壁の周りや二重の城壁の間などは、遊歩道または、内部の居城の展示の一部として、歩けるところが多いです。
歩ける範囲は歩きましたが、地図上では遊歩道になってる城壁下の小径は、かなり足場の悪いところもありました。
でも、城壁の周りや石の間に野の花が風に揺れていて、大変に風情があるので、天気の良い日ならお勧めです。
有料区域を歩いた日が雨で、足下が危なくて大変でした。ドイツの都市城壁には屋根があるけど、この辺りは雪が降らないのかな。
丘の中腹に小さな砦があったそうで、今は跡地に教会が建ってますが、城塞から砦への通路は残ってます。
これが七曲のすごい急坂で、階段もなく、ダストシュートか何かのようです。若い観光客が挑戦してたけど、私は下から見ただけ…


古い石橋、右手奥が城塞     城塞に咲く野の花     二重の城門    堀から城門を見上げる  二重の城壁の間  砦跡からの通路(石壁の間を七曲に通じてます)

城塞内の一角に領主または国王代官の居城があります。展示は主に城塞の防衛設備。一部復元とパネル展示が城壁内に並んでます。
街に面した門をくぐると、そこは居城の出丸になってます。出丸と居城の間に堀があり、それを越えて居城に入ります。
居城にも出丸にも街に向いた狭間(さま)が並んでて、驚きました。…確かに居城は街が攻められたときの最後の拠点ではあるけど…
この施設を作ったのは王家で、城塞内に住めたのはカトリック信者だけですが(カタリ派の人たちは、無一文で追放されてます)
それでも地元住民との軋轢があったのかと想像し、正直、ちょっと怖いような気がしました。
今のカルカソンヌは平和な観光地で、城壁の中は観光客でにぎわってますが、やはり城塞都市にはいろんな過去がありますね。

個人的には、居城見学中天気が悪く、居城の城壁からしか見られないピレネー山脈が、よく見えなかったのが心残り。
十字軍戦役にはスペインも関わり、戦後ほぼ現在と同じ国境線が設定されました。
フランス王が守りたかったという国境を、カルカソンヌから眺めてみたかったんですけどね。


街から続く門(一番奥)をくぐると出丸。堀を渡ると居城の門(塔と城壁に狭間)   居城と街の城壁が重なってます    教会前の広場      古い井戸を囲んだ広場

旅番組ではあまり見ませんが、カルカソンヌのサンナザール教会は、古いステンドグラスの残る、とても美しい教会です。
ロマネスクの身廊にゴシックの内陣や側廊を加えたようですが、ゴシックでも当時パリで主流だった様式を取り入れてるとか。
異端派の拠点をカトリック派が占拠した後って、カトリックの豪華な教会を建てがちですよね。(プラハなんかもそうですね。)
ステンドグラスは、生命の木という、アダムとイブから伸びた枝がキリストに続く図柄のものが、一番有名らしいです。
他にも中世のものがかなり残ってます。どれもすてきで、双眼鏡で眺めては、デジカメの望遠で写真撮りまくり♪
ところどころロマネスクっぽい彫刻が残ってるのも、味があって良いです。カルカソンヌ観光の際は一度お寄りくださいませ。


サンナザール教会      生命の木のステンドグラス  アダムとイブの部分   内陣のステンドグラス       部分        扉脇の彫刻

カルカソンヌには、川を隔ててもう一つ街があります。(現在の駅はこちらの街にあります。)
旅番組でカルカソンヌを追われたカタリ派が住んだ街と聞きましたが、これが完全碁盤目の計画都市なんです。
難民の集落が計画都市って…??と思ってたら、カルカソンヌで買ったパンフレットに、併合後、国王が建てた街で
国王に服従した住民を住まわせたとありました。なるほど〜〜、やっぱり現地に行くとわかることがありますね。納得!
カルカソンヌ城塞内と、この碁盤目街の住人は、あまり仲が良くなかったそうで…国王の分断統治はうまくいったようです…

この街にもかつての城壁が一部残ってます。以前、カルカソンヌの近くの集落にあった教会が移されたという教会もあります。
城塞側はほんとに観光地ですが、こちらは一般の方も普通に住んでて、おいしいパン屋さんもありました。

この地域のもう一つの観光の目玉が、ミディ運河。ボルドーからガロンヌ川とこの運河を経由し、地中海まで通じていたそうで
17世紀から、鉄道ができる19世紀まで、この地域の物流の要だったとか。ちなみに城塞近くを流れるオード川とは別です。
今は観光船が浮かぶ鄙びた水路です。碁盤目街の中や、水路のあちこちに閘門があり、今でも使われています。
クルーズボートの時間に間に合わなかったので、水路沿いの遊歩道を歩いてみました。緑が濃くて美しいお散歩みち…
だったのですが、コロナのせいでしょうか、手入れされてるのが入り口付近のみで、割とすぐに引き返す羽目に…
…googleマップでは歩けることになってるんだけどなあ…
オード川沿いにも公園や水路があり、遊歩道もあるようです。公園は行きましたが、こちらの遊歩道は未確認。


碁盤目の街の城壁跡     サンバンサン教会       街の商店街?     ミディ運河の閘門    街から東側の運河沿い遊歩道  同じく西側の遊歩道

南仏を離れ、次はなぜだか、アングレームです。




前の雑記帳