☆しろの雑記帳☆


11/28 御岳渓谷と櫛かんざし美術館

今年の紅葉が終わりそうなので、急遽御岳渓谷に行ってきました。ついでに櫛かんざし美術館にも。
紅葉はまだ色が残ってる木もあったけど、全体的に見頃終わり。でも、いいお天気で川面が青く、気持ち良い晩秋という感じでした。
いつもの岩でお弁当食べてたら、川原にキセキレイのつがいが来て、2匹で川原をお食事したり、ハクセキレイとケンカしたり…
ちょっと遠くて写真も動画もブレブレでしたが、日向ぼっこしながら、水辺で遊ぶ鳥を眺めるのは、なんか楽しかったです。

櫛かんざし美術館の秋の展示では、秋の柄の櫛や簪の他、南蛮柄の印籠なども並んでました。
南蛮人やカピタンの柄の印籠、なんかかっこいい。異国趣味がツボです。もちろん菊や萩、紅葉、秋草に虫柄などもたくさん。
展示には、櫛や簪の他、和服もあるのですが、今回、武家が火事の避難用に着る衣装というのが出ていて、とても珍しかったです。
女性用のは頭巾付きのケープのようなもの。赤くて目立ち、厚地で水をかけると火の粉を防げるのだそうです。なるほど。
美術館は渓谷の崖の上に建っていて、ロビーから見下ろす多摩川もきれいでした。(写真の櫛が鳥柄ばっかりですいません…)


  川面の青に映えるモミジ    キセキレイのつがい    キセル図蒔絵印籠     南蛮人洋館図蒔絵印籠     遠眼鏡図蒔絵鼈甲櫛    火事装束・頭巾(女性用)


光琳菊文様蒔絵螺鈿櫛 江戸時代      月に萩に雁 江戸時代       柿に烏文様蒔絵櫛 巨満遠舟 写     蝶貝象嵌鼈甲櫛 大正〜昭和

今の展示は12月22日までだそうです。年明けに、また次の展示を見に行きたいですね。


11/26 今月のおでかけ

今月の展覧会は、国立科学博物館特別展「毒」静嘉堂文庫美術館響きあう名宝 ―曜変・琳派のかがやき
毒っておもしろいテーマですよね。
会場には、毒の種類や作用、毒を持った動植物、生物進化と毒の関り、毒の利用や研究などのテーマで、様々な展示が並んでました。
目を惹くのはやっぱり様々な毒性生物。ハブの長い毒牙とか、でっかいオオスズメバチとか、見ているだけで怖いです。
派手な色柄の警告色の動物や、それに擬態して捕食者の目を逃れる無毒の動物も面白かった。
危険が迫ると真っ赤な腹を見せるアカハラヤモリとか、フグにそっくりなノコギリハギとか、生物の進化ってすごいですね。

人と毒の関わりでは、毒性物質の発見や構造研究、無毒化や、毒で毒を制する利用法など…
北米で外来種のオオスズメバチが問題になってるけど、北米在来種のスズメバチってミツバチサイズだとか。…それは大変だわ。
でも毒ガスやアスベストはあったけど、公害としての水銀やカドミウムの展示はなかったし、放射性物質も見当たらなかったような…
ウィルスは毒としては扱わないというのは書かれてましたけど、この辺りの基準はどうなのか、やや疑問でした。

その後企画展へ移動。化学層序と年代測定では、放射性年代測定法によって判明した、様々な地球の歴史が展示されてました。
同じく企画展のワイルドファイヤー火の自然史では、野火で発生するチャコール(植物の炭)の研究により判明した
地質時代ごとの植物相、気候、人の歴史における火の利用、そして近年の気候変動への警鐘が展示されていました。

更に常設展に移動。先日旅行した沖縄の動物のコーナーを見学しました。
声だけで姿を見なられなかったオオシマゼミの標本がありました。あのキンキンした鳴き声も録音で聞けますよ。
島ごとに種類の違うハブから、沖縄の地質史を推定したり、サンゴ礁の動物もきれいでした。
沖縄には固有種のカタツムリがたくさんいると聞いていて、実際カタツムリはたくさん見たけど、固有種ではなかったような…
縦巻きロールのカタツムリを見たかったんだけどなあ。代わりに、科博さんの展示のきれいな沖縄のカタツムリを眺めてきました。


イラガの幼虫の巨大模型   磯の毒性生物  背中は保護色、危険を感じると腹を見せる フグとそっくりなノコギリハギ  昔の蚊取り線香   常設展のオオシマゼミ

静嘉堂文庫美術館の曜変天目茶碗を見たいと思いつつ、ちょっとうちからは行きにくい場所で、なかなか行けなかったのですが
美術館が東京駅近くにお引越しされたんですよね。というわけで、引っ越し記念の展覧会に出かけてまいりました。
静嘉堂創設130周年でもあるとかで、三菱財閥が財力を上げて集めた東洋の名品がたくさん並べられていましたよ。

まずは国宝曜変天目茶碗。世界に3個しかない曜変天目のうちの1つで、一番模様が華やかなのだとか。
銀色の水玉の周りにあやしく輝く瑠璃色が神秘的。どうしてできたのかわからないというのも、謎めいてますよね。
中国陶器がたくさんある中で、唐三彩の鴨型容器に目が釘付け。顔や目がめっちゃ可愛いし、翼の模様の唐草もおしゃれです。
梨皮泥茶銚・荊溪八仙は清の時代の煎茶ポット。小さくてセットなところがこれも可愛いです。これでお茶飲んでみたい。
撮影可の華やかなお皿は、色絵花卉丸文菊型皿。江戸時代の有田のお皿セットの1枚です。

新しい美術館は、重要文化財、明治生命館の中にあって、建物もとても素敵で、外観も品格高く、内装もアンティークで美しいです。
でもしろ的には、廊下に昔のポストがあったり、古いエレベーターの装飾が残ってたりするのが、ちょっとツボでした。
(建物と有田のお皿以外は、ネットで盗んだ画像です。)


     国宝・曜変天目茶碗         唐三彩鴨型容器        梨皮泥茶銚・荊溪八仙     色絵花卉丸文菊型皿  重要文化財・明治生命館1階美術館ホワイエ



11/21 旅行中見かけた沖縄の自然っぽいものと、沖縄ご飯など…

沖縄といえば、ビーチとか離島の自然とかのイメージですが、前にも申し上げました事情により、あまり自然に接する機会もなく…
とはいえ、市内の街路樹とかも本州とは全然違うし、民家のお庭のお花もトロピカルで、南国の雰囲気を感じられます。
これまで見たことのない鳥にもいくつか出会いました。残念ながら、沖縄の鳥…というわけではないみたいでしたけど…
イソヒヨドリは、市内にたくさん飛んでましたが、最近は東京の都心でも見かけるみたいですね。
オスは鮮やかな赤と青、メスは白黒の細かな柄の、美しい鳥でした。
バリケンは、外来種の家禽が野生化したものらしいですが、龍潭(首里城近くのお庭の跡地の池)にたくさんいました。
地元の方が餌をやってました。白黒まだらの羽根と、ニワトリのとさかのような顔の凸凹が印象的です。

昆虫は南国のに出会いましたよ。シロオビアゲハとリュウキュウミスジはアジア亜熱帯のチョウで、草地ではどこでも見かけました。
あと姿は見ませんでしたが、今帰仁グスクにオオシマゼミが鳴いてました。沖縄固有種でツクツクボウシの仲間だそうです。
金属的な鳴き声で、最初セミとわからなかったです。お聞きになりたい方はリンク先からどうぞ。
昆虫といえば…茂みにはどこでも蚊がいました。地元の方に、虫よけとかゆみ止めは年中必要と言われました。どうぞご注意を…


イソヒヨドリ(オス)    イソヒヨドリ(メス)     バリケン      シロオビアゲハのつがい    リュウキュウミスジ

那覇近郊の人工ビーチに行きましたが、雨で…でも、水が透明できれいでした。サンゴのかけらを拾ってきました。
首里城には玉砂利ではなく、サンゴのかけらが敷き詰められてます。白くてきれいですし、サンゴは縁起ものなんだとか。
海洋博公園の海。崖に生えてる草も南国っぽいです。遠くに見えるのは伊江島。沖縄戦の激戦地でもありますが
中央の印象的な山はグスク山といって、オフスクレープ現象でできた、珍しい山なのだそうです。

海洋博公園の美ら海水族館には、イノー(沖縄の礁池)、サンゴ礁、黒潮の海などの水槽があり、カラフルなお魚が見られます。
サンゴの中を泳ぎ回る熱帯魚が美しく、ついついスマホで動画を撮りまくり…(なので、逆に静止画があまりないのです…)
大水槽の給餌ショーでは、マンタがでんぐり返りをしたり、ジンベイザメが立ち泳ぎをしながら、餌を食べてました。
チンアナゴやサカサクラゲも可愛いし、重さ3sの巨大ニシキエビとか、ちょっと怖いけどすごくきれい。
沖縄の海の毒のある生き物や、サメについてのマニアックなコーナー、海洋保全の展示とかも面白かったです。
海関係の写真が少ないので、おきみゅーのイノーのジオラマの写真をついでに…すごくよくできていて、きれいな模型でした。


那覇近くの人工ビーチ 海洋博公園から見える伊江島  美ら海水族館のサンゴ礁の水槽       ナンヨウハギ     ニシキエビ    おきみゅーのイノーのジオラマ

初めて見る、南国情緒たっぷりのお花や植物がいっぱい。ガジュマルの木とか、なんだか絡まっちゃって、すごい迫力ですよね。
グスクの中や市街地の公園などにも、トロピカルなお花が植えられてます。11月なのにあちこちに鮮やかなお花が見られました。
民家園の裏に、沖縄の伝統野菜やハーブの畑が作られてました。ウコンやショウガ、シマトウガラシ、クワンソウなど…
首里の近くに、沖縄戦を生き延びた樹齢200年を越えるアカギが数本立っていて、ちょっとした観光地になってます。


今帰仁グスクのフウリンブッソウゲ 海洋博公園の民家園のクミスクチン 八重咲ハイビスカス センネンボクと花ブロック ブーゲンビリア 樹齢200年以上の大アカギ

コロナ禍だしあまりお店では食事せず…。それに…すみません、実はゴーヤも固い麺も苦手で(名古屋生まれだけど、きしめん苦手)
でも、フェリー乗り場の港で食べたお魚、おいしかった!グルクンの唐揚げと海鮮丼セット、なんとこれで税込み1000円!
沖縄風ちゃんぽんは、魚介ではなくポークハムと野菜を、卵とじにして、麺ではなくご飯にかけたものです。
すごく好みでおいしかったです。コンビニ弁当にもありました。おすすめ!
紅芋タルトやちんすこうもおいしいけど、冬瓜漬という伝統菓子を食べてみたくて、首里城でお茶しました。
伝統菓子とさんぴん茶のセットに入ってる冬瓜漬、上品な甘さと独特の触感で、すごく美味!でも生菓子で、お土産には難しそう…
食べられるのは首里城の休憩所のみで、売ってるのも、そこか、作ってるお店だけのようです。残念。

お店で食べたのはこのくらいで、だいたいはコンビニでパンやお弁当を買って、屋外かホテルの部屋で食べてました。
でもコンビニでも、観光客向けに沖縄食品をいろいろおいてましたよ。写真はゴーヤチャンプル(コンビニのはそんなに苦くない)、
森永ヨーゴ(沖縄限定の乳飲料)、ゼブラパン(ピーナツバター、黒糖などを縞々に挟んだ菓子パン)です。
この他、ポークハムを挟んだ沖縄おにぎりとかもおいしいです。沖縄って島なのに、何でもポークが入ってるのが不思議ですけど。

最後は、おきみゅーのショップで購入した紅型グッズの一部。ほとんどプリントですが、手染めのもあります。
紅型大好きなんです。他のお店でも買いましたが、おきみゅーさんが一番好みの柄が揃ってました。


   グルクン唐揚げと海鮮丼        沖縄ちゃんぽん    伝統菓子セット(楊枝に付いてるのが冬瓜漬)  沖縄コンビニご飯     おきみゅーの紅型グッズ

単純に楽しいばかりではなかったけれど、ものすごく充実した滞在でした。
敷居が高かったのを、コロナのおかげで乗り越えることになって、結果的には良かったです。
現地で学んだことを忘れないうちに、沖縄史の本など、また読もうと思ってます。


11/20 沖縄の戦争と近代史

浦添グスクが沖縄戦の激戦地になって、前田高地と呼ばれて米軍と日本軍が奪い合ったことは、事前に調べて知ってましたが
現地にはボランティアガイドさんがいて、沖縄戦について詳しく教えていただけました。
実際グスクからは、米軍上陸地点や主な激戦地、日本軍司令部のあった首里城、それに現在の米軍辺野古基地も、よく見えるんです。
沖縄本島中部に上陸した米軍は、南北に進軍しますが、南部では、日本軍が米軍を沖縄に足止めするため、消耗戦を仕掛けました。
結果、日米両軍に大量の戦死者を出し、敗色濃厚な日本軍は、兵士と住民に投降を禁じ、死ぬまで抵抗するよう命じ、組織を解散。
ゲリラ戦を続ける日本兵と避難民が沖縄本島南端に追い詰められ、結局一番死者が多かったのは沖縄の住民でした。

日本兵と避難民の悲惨な状況については、ひめゆり平和祈念資料館に展示されています。
沖縄の女子高生が従軍看護婦として野戦病院で働かされた挙句、戦場で死んでいったひめゆり学徒隊の名は、よく知られてますが
病院という名の地下壕や鍾乳洞で、麻酔も消毒液も薬もない中で、敗血症や蛆虫にまみれて死んでいく日本兵の状況や
米軍の爆撃や機銃掃射、火炎放射の中、茂みの中の鍾乳洞や海岸の岩場を逃げ惑う避難民の話は、非道さに胸が悪くなりました。

沖縄がどうしてこのような状況に追いやられたのか、沖縄の近代から現代の歴史は、平和祈念公園の資料館の展示に詳しいです。
日本の富国強兵政策や琉球処分から、世界が第二次大戦に至る経緯が、沖縄の視点で語られます。
展示室いっぱいの沖縄各島の地図の上で、沖縄各地での戦闘の映像が上映され、避難民の隠れた鍾乳洞が再現されてました。
海洋博公園に行ったとき、沖にちょっと不思議な形の小島が見えたのですが、伊予島といって、戦前は大きな軍用空港があり
沖縄戦の激戦地で、住民を含めて数千人戦死者が出たとか、全く知りませんでした。
展示は米軍支配の時代から、日本復帰闘争へ続くのですが、時間切れであまり見られなくて、残念。
公園内には日米他、すべての戦没者の名を刻んだ碑がずらりと並び、崖の上からは避難民が逃げ惑ったサンゴ礁の海岸が見えます。
崖もサンゴ礁も、岩がゴツゴツして、ここを逃げるのがいかに大変だったか想像されました。
(ひめゆり平和祈念資料館も、平和祈念公園資料館も、内部は撮影禁止です。)


ひめゆり資料館、記念碑の下は野戦病院だった鍾乳洞 避難民が逃げ惑った岩場  平和祈念公園の戦没者の名前 平和の礎の碑  おきみゅーの剥ぎ取り地層に見える沖縄戦

ひめゆりや平和祈念公園はバスで行くにはちょっと大変ですが、沖縄戦や米軍占領に関する展示は、那覇市内の博物館にもあります。
おきみゅーの考古展示では、沖縄の地層の剥ぎ取り展示があり、上部に沖縄戦で焦げた土がはっきり見えます。
考古学には、戦争考古学という分野があるそうで、沖縄戦時の発掘物もたくさん展示されてました。
歴史展示の戦争資料は撮影禁止のものが多いので、戦後のものをいくつか…
1959年に米軍戦闘機が現うるま市の小学校に墜落し、住民死者18名を出した惨事の雑誌記事。米軍の事故はその後も続いてます。
米軍占領下の沖縄県民が内地や第三国に行くための許可証と、他都道府県民が沖縄に行くための旅券。当時沖縄は外国同然でした。

那覇市歴史博物館でも、沖縄の近代史に関する企画展をやってました。「近代沖縄の染織〜貢納布から特産品へ」
琉球処分後、海外交易ができなくなった沖縄は、内地向けの商品開発が必要になり、布などの殖産興業を始めました。
内国勧業博覧会の他県の布を参考にしたり、沖縄らしさを活かしながら、内地で着やすく、量産が可能な色柄を工夫したり…
布の他にもアダン(沖縄の植物)を使ったパナマ帽を大量生産したり、泡盛の販売や、後には観光産業にも力を入れたとか。
戦前の沖縄を楽しむ内地のお嬢様のスナップ写真には、ちょっとびっくり。…内地人にしてもさぞお金持ちだったのでしょう…

一方、沖縄県内では琉球語の使用禁止や和服の着用が推奨されました。とはいえ、当時の沖縄では和服は高価で
家庭で沖縄の布を工夫して、和服らしい衣装を自作し、和服と琉球服の折衷のような衣装がたくさん作られたそうです。
内地では洋装が普及しつつあった頃、沖縄ではヤマトの民族衣装が推奨されてたわけですね…
本当に、知らないことばかりで、びっくりでした。小さい博物館ですが、那覇市の中心部で行きやすいし、こちらもお勧めです。


米軍戦闘機墜落事故の写真   沖縄出入用の許可証と旅券  沖縄のアダン製パナマ帽   内地向け藍染紅型   琉球服と和服の折衷服の例  沖縄観光を楽しむ内地のお嬢様

どの博物館でも沖縄の視点から日本の近代史を見直すことができて、ものすごく学ぶことがありました。
やっぱり、現地へ行ってこそ学べることがあるんだと思いました。博物館の学芸員さんたちに、この場を借りて感謝いたします。
次は、あまり見られなかった沖縄の自然や、あと現地で食べたものとかをご紹介させていただきます。


11/19 沖縄旅行に行ってきました

何だか長らくお休みしてしまって、申し訳ございません。…いえ、旅行に行ってたのは、1週間くらいだったのですが
その前の準備と、帰ってきてからの写真の整理と、あと疲労困憊して、ぐったりしておりまして…
あ、もしかして、全国旅行支援でお得な旅行をしてきたとお思いでしょうか?…実のところ、今回はほとんど恩恵なしでした。
今回の旅行支援は対象の宿泊料金に下限があって、私の場合1泊分しか対象になりませんでした。
ちょっと高いホテルに予約し直そうかなとも思ったのですが、皆がそんなことしたら安い宿がつぶれてちゃうかも、
そんなことになったら、次に旅行するとき困るじゃないか…と心配になり、いつもどおりの安宿に滞在してました。
実際、予約キャンセルされて困ってる安い宿が、たくさんあるのではと大変心配。今回は政府の対策にちょっと怒ってます。

これからは年2回海外旅行してやる!と年明けから息巻いてたのですが、まだコロナで閉まってる国や施設も多いようで、断念。
じゃあ、秋冬に行ける旅行先は…ということで、沖縄になったわけなんですが、実は沖縄って、一生行くつもりなかったのです。
沖縄って、列車がないんですよ。自由旅行される方も、だいたいはレンタカーを使われてます。(那覇周辺のみモノレールあり)
実際、ガイドブック見ても、観光施設への車での行き方と駐車場のあるなしだけで、最寄りのバス停の名前すら載ってません。
免許すらないしろには、バスだけが頼りですが、バスの便がこれまた大変少なくて、乗り換え調べるのも大変で…涙。
しょうがないですよね、列車は戦中に日本軍の事故で爆破され、地上戦に巻き込まれ、その後はアメリカ占領ですもの。
列車がない事情は分かるし、沖縄に興味がないわけじゃなかったのですが、しろには敷居が高かったのです。
でも行くと決めた以上、便は少ないのに複雑なバス路線を必死で調べて、バスの時間に合わせて観光ルートを決定。
もちろん行きたくて行けない場所はたくさんありましたが、一応、やればなんとかなるものですね。

行ったのは、今帰仁(なきじん)グスク、海洋博公園、浦添グスク、ひめゆり平和祈念資料館、平和祈念公園、沖縄県立博物館
首里城公園とその周辺、那覇市歴史博物館などです。ビーチは…ええと、那覇近くの人工ビーチにちらっと…雨でしたが。
一応、暑いとはいえ秋ですしね。それにとにかく車がないので、沖縄の自然にはあまり親しめませんでした。残念。
というわけで、まただらだら旅行記を書こうと思うんですが、まずは、歴史と風景を主に…

沖縄に行くなら、グスクを見たい!と思ったのですが、首里城以外のグスクって、バスでもなかなか行きにくいところが多く…
グスクというのは、沖縄のお城で、時代や地域によって違うようですが、領主の砦や聖域や集落が城壁で囲まれた場所です。
12世紀から15世紀頃に建ったらしいですが、グスク時代には文字資料がなかったので、謎が多い遺跡なんですよね。

最初に行ったのは、北部の今帰仁グスク
那覇から海洋博公園までは高速バスやフェリーの便が多く、そこから今帰仁グスクにバスかタクシーで行けるとわかりました。
城壁が壮大で、感動。写真は外角の城壁です。ヤマトのお城は石垣ですが、沖縄のグスクは城壁なんです。
城壁は直線ではなく、特に外郭はうねった曲線です。分厚くて、上に歩廊がついています。
斜面に沿っていくつかの区画が並ぶ山城で、それぞれの区画が城壁で囲われています。
建物はないですが、いくつか礎石は残ってます。見晴らし台があって、海まで見渡せます。
博物館が併設されてて、考古遺物や、琉球王朝時代の代官がいた頃の文字資料を展示してました。

那覇近郊の浦添グスクは沖縄戦の激戦地でもあり、映画ができて、最近観光地になってるようです。ここはモノレールから徒歩圏内。
沖縄戦でほぼ破壊されたのですが、琉球王家の墓所の部分(ようどれ)はきれいに復元されてました。これも素晴らしい石組です。
墓所以外の石組は現在修復中で、シートがかかってました。城壁の部分復元が展示されてて、石組の内部が見られます。
ふもとに小さい博物館があって、考古遺物のほか、墓所の中が復元展示されてます。
浦添グスクは沖縄中南部で一番高い場所のようで、上から東シナ海と太平洋が同時に見渡せます。沖縄は島なんだと実感!


                      今帰仁グスクの壮大な城壁                        城壁の復元展示   浦添グスクの墓所(ようどれ)

首里城も沖縄戦で破壊されましたが、沖縄県民の長年の努力で復元されました。最近正殿が火災で焼失して、再度復元中です。
丘の上に、たくさんの区画を城壁と門で仕切った、複雑な造りのお城です。数々の門や水場、城壁からの見晴らしも素敵ですが
内部に御嶽(うたき)の森が残っていて、そこが一番のお気に入りでした。沖縄の樹木がうっそうと茂る、美しい森です。
人気の観光地なので、お城周辺も整備されています。首里城から浦添グスクへ続く道の一部が復元されてました。
坂道と階段が続く石畳の道や、古い集落の水場、お寺やお庭の跡などが見られます。(お庭は一部改修中でした。)


守礼門(これは50年代の復元)  こんな石段と門がたくさんあります   しっとりと美しい御嶽の森     海まで見渡せます       城壁の見張り台

旅行に行ったら、まずは博物館。こちらは沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)です。
グスクを模した外観に、沖縄の花ブロック(透き模様の入ったブロック)の装飾が素敵。
博物館の常設展と復帰50年展「琉球−美とその背景」を見ました。朝8時半から夜8時までいたんだけど、時間足りず美術館見られず…
野外展示の窯跡や民家復元も面白かったし、ショップの紅型グッズは、さすがのセンスの良さ。大量購入しちゃいました。
特別展はおきみゅーの他、東京国立博物館、松坂屋コレクション等所蔵の、貴重な沖縄の美術品、資料が展示されてました。
トーハクさん、あんなに沖縄資料お持ちとは知りませんでした。トーハクでも展示してくださいよ〜〜。

常設展もめっちゃ面白かったです。沖縄の自然のコーナーでは、各地の自然のジオラマのほか、湊川人の展示も充実。
歴史コーナーでは、グスク時代から現代までの、沖縄の歴史が学べます。各地のグスクの模型や、中継貿易時代の資料
尚氏琉球の制度や地方支配、薩摩の侵攻、琉球処分、沖縄学、ヤマトの戦争と沖縄戦、アメリカ世、日本復帰…
時間がなくて、考古学と民俗学のコーナーは、ざっとしか見られませんでした。あと映像資料もあまり見てない…残念。
実は、放送大学の博物館学の授業で見て、ずっと行きたかったのです。とても工夫された展示で、建物もきれいです。おすすめです。


特別展の紅型衣装    獅子の飾りの金の簪   トーハク所蔵の沖縄おもちゃ   常設展の進貢船の模型   高位の神官の正装    宮古島の自然のジオラマ

花ブロックは一般住宅にもあちこち使われてますが、公共建築物に沖縄的な装飾として使われることも多いみたい。
那覇近郊では、おきみゅーの他、首里城近くの芸大も有名です。芸大は貝摺奉行所(王府の美術工芸部門)跡に建ってるんですよね。
伝統的な民家はおきみゅーの他、海洋博公園の民家園が充実してました。(改修中のも多かったですが。)
赤い瓦と開放的な造りの民家や高床の倉庫などが見られます。民家入り口のひんぷん(魔よけの壁)がちょっと不思議。
民家やグスクでは、井戸よりも湧き水の水場を多く見かけました。沖縄はサンゴや貝殻の堆積岩、琉球石灰岩が多いですが
多孔質で水を通すので、下層の泥岩との境界から湧水があるのだそうです。なるほど。
実際、崖のところで、多孔質の穴から雨水が流れてました。那覇周辺はグスクも石畳も石垣も、何もかも琉球石灰岩でできてます。


おきみゅーの花ブロック     芸大の花ブロック     一般住宅にも花ブロック     海洋博公園の民家園     首里城近くの石畳道     首里城近くの古い水場

次回は、沖縄の博物館から、沖縄戦や沖縄の近代史について…ご興味があればぜひ。




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