☆しろの雑記帳☆


9/11 今月のお出かけ

今月のお出かけは上野。夏休みが終わったので、国立科学博物館さんの夏の特別展化石ハンター展
コロナで2年開催が遅れた東京都美術館ボストン美術館展に行ってきました。
お天気はいまいちでしたが、おかげで気温も低めで、助かりました。高性能マスク付けてても、そんなに暑くないです。

化石ハンター展、前半はアメリカ自然史博物館の動物学者アンドリュースと、彼に続いた各国の発掘隊の、ゴビ砂漠での発掘記録と
ゴビ砂漠で見つかった恐竜や絶滅哺乳類の化石を紹介する展示でした。中国やモンゴルは、恐竜化石で有名ですよね。
卵の近くで見つかったので、オビラプトル(卵泥棒)という名前がついたけど、実は抱卵していただけとわかった
有名な化石のレプリカや、幼体から成体までずらっと並んだプロトケラトプスの頭骨とか、大変興味深かったです。
でも、アンドリュースがもともと哺乳類学者だったためか、むしろ哺乳類化石の方が見ごたえありました。
(その点、恐竜ファンのお子様には、ちょっと御不満な方もいらっしゃったみたい…笑)
パラケラテリウムみたいな巨大哺乳類から、小さなげっ歯類まで、バラエティがあって面白かったです。

後半は、インド亜大陸の移動でヒマラヤ山脈が形成され、そこで寒冷適応した哺乳類が、氷河期にユーラシア北部に拡散したという
アウトオブチベット説の紹介。例えば、ヒマラヤの絶滅哺乳類チベットケサイは、氷河期のケブカサイの先祖なんだとか。
拡散した地域で、また温暖化に適応した種もあり、ヒョウ属の先祖はチベットにいたチベットユキヒョウらしいとのこと。
初めて聞いたけど、ヒマラヤの絶滅種と現生種の比較や、大陸移動の経緯や地質の紹介を絡めて解説され、興味深かったです。

その後、前回データをなくしてしまった、企画展「国立科学博物館収蔵庫コレクション」の写真を撮り直し
常設展やショップをうろうろしてたのですが、今回、ずっと探していたある展示物を意外なところで見つけました。
以前、プランクトンの展示で見かけた、ガラス製の珪藻の模型、すごくきれいでまた見たいと思ってたのですが
なんと、日本の地質の、珪藻土と七輪という展示に組み込まれているのを発見。うーん、これは盲点…
でもよかった、これでいつでもまた見られます。凝った柄のガラスの蓋物みたいで、とっても美しいのです。
実物の珪藻の殻もガラス質で、いろんな形があってとってもきれいですが、この模型も負けてません。おすすめですよ♪


オビラプトル科シノバチの抱卵の産状化石  アビミムス      巨大哺乳類パラケラテリウム      チベットケサイの復元模型       ガラスの珪藻模型

お次は都美館へ移動。ボストン美術館展のお目当ては、もちろん、平治物語絵詞と吉備大臣入唐絵巻の2絵巻。
平治物語絵詞は、夜討で焼ける御殿の炎が、噂通りの迫力。これでもかと描き込まれた武士や貴族、女官が画面にひしめいてます。
武士たちの様々な鎧兜や武具、馬具は、大変正確に描かれてるそうで、リアルな表情や身体の動きと共に見ごたえあります。
でもちょっと不思議なのは、ところどころ背景の門や柱の線が、前景の人物に重なってるんです。
人物に塗った絵の具が剥げて、塗りつぶした背景が出ちゃったとか?そういえば、女性の顔も白紙なんですが、これもなのかな…??
あと、ところどころにある四角い枠は、多分重要人物の名前を入れる短冊と思うんですが、全部空欄。
…昔、手書き漫画の原稿の写植の吹き出しの文字が、たまに貼り忘れたまま雑誌に載ってたのを、なんとなく思い出します…
不思議に思って、図書館で画集を借りたのですが、同じ絵巻の、日本にある他の巻にも、空欄の短冊があちこちに…
画集には、この短冊には多分この人物名…という解説がありましたが、なぜ空欄なのかは謎…どなたかご存じありませんか??

吉備大臣入唐絵巻は、説話をマンガ化しましたっていう感じの、楽しい絵巻です。登場人物の表情とか、まさに元祖マンガ。
登場人物の吉備真備も阿倍仲麻呂も、舞台の唐も実在ですが、お話はかなりトンデモで
吉備大臣と同年代のはずの仲麻呂は、唐で死んで鬼になってるし、遣唐使に行ったはずの吉備大臣は
なぜか唐の陰謀で、暗殺目的の難題を吹っ掛けられ、それをカンニングやいろんな術を使って出し抜く…というお話。
成立年代は12世紀末から13世紀初めとのことですが、当時の日本の人にとって、中国はおとぎの国だったんですねえ。
でも、国交的なものはともかく、その時期、日宋貿易はしてたんじゃなかったっけ…??
このお話を、当時中国の人が聞いたらどう思ったのかなあ??日本人の国際感覚について、ちょっと考えてしまいました。

展覧会には他にも、ボストン美術館の多岐にわたる収蔵品から、様々な分野の美術品が展示されてました。
メインビジュアルの増山雪斎の孔雀図はとっても華やか。インドの細密画もきれいでしたし
アメリカの富豪の持っていた、巨大エメラルドに彫刻したブローチも豪華絢爛。植物画のセーブル焼きも素敵でした。
個人的には、デューラーのマクシミリアン1世の凱旋車がおすすめ。凱旋パレードの列を連作の木版画を繋げて表現してます。
木版画は、木を彫って線を掘り残すわけで、ここまで細かくするなら、銅版画の方が楽じゃないかという気もしますが
とにかくすごい技術です。当然残ってないと思うけど、デューラーの版木を一度見てみたい…


平治物語絵詞(部分)   謎の空欄短冊   吉備大臣入唐絵巻(部分)問題をカンニング中の吉備大臣 貴族の下着姿は貴重な資料とか   マクシミリアン1世の凱旋車(部分)

ボストン美術館展は、一部を除いて撮影禁止なので、画像は例によって、ネットで盗んできました。
朝5時起きで都心に出かけ、夜の8時まで展覧会見て帰ってくると、やっぱりちょっと疲れますね。
夏は暑いから、体力づくりのお散歩をサボりがちなのが一因かと…やっぱりトシなので、サボるとすぐ結果が出ます…
少しずつ涼しくなってきてるし、頑張って体力取り戻さないとなあ。


9/2 櫛かんざし美術館

夏休みが終わったので、久々に御岳渓谷に行ってみようかなと思いました。
お天気もちょっと微妙でしたが、どうせ天気予報も当たらないし、晴れたらそれはそれで暑いし、まあいいやという感じで…
お花の時期ではないけど、水は相変わらず透明で、キセキレイが飛んでて(写真撮れなかったけど)お散歩をそれなりに楽しんで
最後にいつものように澤乃井酒造さんのガーデンカフェに寄ったら、近くの櫛かんざし美術館のポスターが。

江戸以降の女性の装身具や根付、印籠などをたくさん所蔵されてる素敵な美術館で、こちらに越した直後に行ったことあります。
ポスターでは、夏用の櫛、簪の特集をしてるとのことで、ガラスが見られるかなあと、急遽行ってみることにしました。
そしたら、前来たときは撮影禁止だったのに、いつの間にか撮影可になってて、狂喜乱舞。
…私、記憶力が少ないんです。外部メディアに記録しないと、どんな素敵なものを見ても、すぐ忘れちゃうのです。
だから、美術館にカメラは必需品。これだけの工芸品を写し放題なら、600円なんてお安いですよね。
スマホとSNSの普及で、お客さんの撮影が宣伝になるようになって、撮影可の美術館増えてるかも。スマホ文化に感謝ですね。

ガラスの簪や、ガラス絵やビーズをあしらった櫛、それから水晶を使った装身具もありました。
その他に、大量の印籠、根付、様々な櫛や簪、当時の髪型を示す浮世絵や、着物なども展示されています。
櫛や簪は大まかに時代順に展示され、女性の髪型やファッションの変遷と絡めて解説されてます。
明治になって洋髪向けの櫛や簪が工夫されたり、大正から昭和初期に若者向けにデザインが華やかになっていったり
昭和初期のセルロイドの模造べっ甲を型抜きの金属箔で装飾した櫛とか、量産品なのにとってもおしゃれで、大変興味深いです。


江戸切子の櫛(櫛部分はべっ甲)と笄    ガラス笄いろいろ       江戸時代のガラス絵の櫛        根付      酒井抱一デザインの印籠


  水晶の櫛(櫛部分はべっ甲)        昭和期の象牙透かし彫り           銀細工の櫛        セルロイドとは思えない可愛い金芝細工

まだまだ素敵な工芸品が山のようにありました。これだけしかご紹介できず残念…
帰りがいつもより遅くなってしまいましたが、思いがけず充実したお出かけになって、満足満足。
季節ごとに展示替えがあるそうですし、まだまだたくさんの所蔵品をお持ちのようなので、またでかけてこようと思います。




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