☆しろの雑記帳☆


11/16 正倉院展その他

風邪も直りましたので、今月のお出かけ。東京国立博物館正倉院展に行ってまいりました。
でも、いつもどおり、都心に出たからにはあちこちの展覧会を回ります。
まずお出かけしたのは東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵」
アメリカのコレクターさんが収集された戦前からの日本の竹工芸の名品の里帰り展です。

事前にあまり情報がなかったのですが、とても素晴らしい展覧会でした。戦前戦後、伝統工芸から現代アートまで匠の技がいっぱい。
細く割った竹をさまざまな技法で織り上げた織り目の表情は実に多彩で、まさに神業。実演ビデオの手技にもうっとりです。
しろ的には、細い竹をレースのように組んだ作品がツボ。透け感のある工芸が大好きなんですよね〜♪
工芸館の所蔵品から竹にまつわる書画、着物、陶芸などが組み合わせて展示されていて、これもなかなか素敵でした。


織り模様が素敵な茶箪笥、掛け軸は速水御舟    持ち手の透け感がツボ♪         両端を節につないだまま籤にしているのです。神技!           多彩な織り目の籠

この工芸館、実は来年度から金沢に移転してしまうのです。
建物も明治の洋館で、館内のベンチなども工芸品が置かれていて、小規模ながら素敵な美術館だったのに、とっても残念…

さて、問題の正倉院展、トーハクでは前期、後期と展示替えがあり、しろは白瑠璃碗の展示される後期に出かけたのですが
なぜか後期の方がめっちゃ混み。夜間開館の日の夕方を狙ったのに、展示ケースの前は立錐の余地もなし。
でも、お目当ての白瑠璃碗、写真よりずっと素晴らしくて、人垣を掻き分けた甲斐がありました。
まったりと飴色に古色がついて、亀甲のカット面に対面のカットがキラキラ乱反射してます。トーハクさんのライティングもさすがです。

事前に由水常雄先生のご本で予習したところでは、ユーラシア各地で同様のガラス器が出土していて
古代ペルシアの国家事業として量産され、各地に交易または贈答品として送られたのではないかとのこと。
ただし、ほとんどがお墓の副葬品で保存状態が悪く、ほぼ完品なのは正倉院のものだけ。
実はトーハクさんも1個お持ちで、隣に展示されてましたが、割れてるし、表面銀化しかかってて、やっぱりあまり美しくはないです。

量産品と聞いて驚きましたが、デザインも技術も確立していたはずで、手間はかかるけどルーチン的にできたのではないかと。
吹きガラスで厚めの生地を作り、グラインダーで根気良く削っていくのだそうです。なるほど。
なんと由水先生は、白瑠璃碗制作の素人向けのワークショップをされたこともあるのだとか。びっくり!
(ものすごく時間と手間がかかるそうで…私も多少ガラスを削ったことがあるので、なんとなく想像つきますね。)
実物を見てみると、亀甲のカット面は凹面なので、曲面のグラインダーで削ったようですね。これも写真ではわかりませんでした。

その他でしろ的にツボだったのは、碁石(紅牙撥鏤碁子、紺牙撥鏤碁子)。象牙に彩色して模様を削り出したものです。
碁石なのでたくさんあって、鳥の絵柄が全部違います。とってもかわいいのですが、ものが小さいので人垣をかき分けて見るのが大変…
平螺鈿背八角鏡の裏側の螺鈿は豪華絢爛で、圧巻でした。
螺鈿紫檀五絃琵琶は実物の展示は前期のみで、後期は複製品が展示されていましたが、これはこれで素敵でしたよ。
複製品とはいえ現代の匠が総力を上げた作品で、現代では材料(玳瑁、夜光貝など)も入手困難ですし、大変貴重なものなのです。
紫檀木画槽琵琶は表側の模様は色あせてますが、裏側の木画は華麗で素晴らしいものでした。
当然ながら撮影禁止なので、画像はネットで盗んできました。最後の螺鈿紫檀阮咸だけは撮影可だった複製品です。


       麗しの白瑠璃碗      鳥がかわいい紅牙撥鏤碁子、紺牙撥鏤碁子   豪華絢爛、平螺鈿背八角鏡

   
       螺鈿紫檀五絃琵琶(これは本物の方の写真です)    紫檀木画槽琵琶(背面)鳥柄が素敵   豪螺鈿紫檀阮咸(複製品、背面)この鳥柄もおしゃれ

当日は特別展以外にもいろいろな展示があって、21時まで開館のところ、20時半ごろまで居座ってたんですが、それでも見きれない…。
まずVRシアターでは、特別展に関連して正倉院 時を超える想いを上映。
正倉院の宝物をいろいろ紹介する映像…と思いきや、なんと明治初期の正倉院をバーチャルで映像化し、内部に入るという内容。
奈良の正倉院展に行ったことは何度かありますが、「正倉院」自体は見たことないというか、普通見せてもらえないですよね。
どういう建物なのかとても興味があったので、しろ的には大変興味深かったです。古建築好きな方にはお勧めです。

東洋館での特別展 人、神、自然−ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界は常設展のチケットでも見られます。
カタールの王族の個人コレクションとかで、繊細華麗な宝石貴金属でできた、世界各地の古代遺物がずらりと並んでいます。
年代も地域もバラバラな宝物が並べて展示されてますが、プリンスの美的趣味に貫かれ、独特の統一感があって、逆に不思議な感じ。
繊細な金工のジュエリーなど、目を奪われる美しさですが、こういうコレクションって、学術的にはどうなのって、ちょっと思いました。
トーハクさんの考古学者さんにちょっとご意見をうかがってみたい気も…
プリンスの趣味なのか、羊、山羊、アンテロープ、鹿などのアイテムが多く、大変美しいです。角好き、偶蹄目好きの方にもぜひお勧め。

  
VRシアター、正倉院 時を超える想い     ザ・アール・サーニ・コレクションより鹿の形の酒器    アンテロープのオブジェ

それからちょうど庭園開放の時期で、まだちょっと紅葉には早かったのですが、お庭を見ながらお弁当を食べました。
本館では、住友財団修復助成30年記念 特別企画「文化財よ、永遠に」が開催されていました。
たくさんの修復済みの仏像が展示されてましたが、肝心の修復についての解説があまりなくて、フラストレーション。
どうやら、最初は解説の冊子が配布されていたようなのですが、当日は品切れらしく残念でした。また増刷されると良いんですが…
法隆寺献納宝物館では、国宝の聖徳太子絵伝が展示されてます。聖徳太子の伝説を描いた絵伝で一番古く、平安時代の貴重な絵画です。
ただ、状態が悪くて、以前展示されていたときは絵柄がよくわからなかったのですが
今回は8kの高精細画像の映像が大画面で流れ、自分で操作して部分を拡大してみれられるモニターも設置され
私でも知っている伝説のエピソードがちゃんと見られて、なるほどこういう絵だったのかと、やっと納得。現代の技術はすばらしいですね。

このほかにも常設展も展示替えがあったり、見たい展示もいろいろあったのですが、時間と体力が尽きました。
トーハクって結構広くて建物もたくさんあって、そこを走り回ってくたくた…。でもめいっぱい遊べてとても充実した一日でしたよ♪
トーハクさんには感謝、感謝です。またおもしろい展示があったら、ぜひ伺いますね。


11/13 秋の薔薇

なんだかまた間が開いてしまいまして、申しわけございません。
急に寒くなってちょっと風邪ひいてしまいまして…いえ、大したことはないんですが、トシなので大事をとっておりました。
今回は秋の薔薇。ひさびさに、花芯がないタイプのを作ってみました。
この時期のフラワーアレンジで、赤紫と金茶のグラデーションのような薔薇を見かけて、きれいだなあと思ったのですが
ガラスで混ぜるとにごりそうだったので、別のパーツで引いて、合わせてみることにしました。
本物のお花の微妙な色合いにはなかなかなりませんが、紫と茶色に金赤をたくさん混ぜて、秋っぽい色を作ってみました。
とんぼ玉3個です。よろしくお願いいたします。



ところで、風邪ひく前なんですが、久々にお天気がよかったので、御嶽渓谷へ出かけてみたんですよ。
もう台風の影響も落ち着いてるかな…なんて思ったのですが、とんでもなかったです。
つり橋が1本落ちてて、遊歩道も全面立ち入り禁止。上の自動車道路を隣の沢井駅まで行ってみましたが、やっぱり立ち入り禁止。
澤井酒造さんのガーデンカフェもお休みでしたし、途中でのぞいた遊歩道の東屋のベンチとテーブルが根こそぎなくなってました。
遊歩道は河原からかなり上がった崖の上にあるのに、作りつけのベンチが引きちぎられるような水流って…。
遊歩道は川沿いの農家の土地をお借りして作ったものなので、当然農家の庭先まで水は来たはずですし…
河原をのぞくと崖から落ちた岩が転がり、渓流の水際の植生もほとんどなくなって、水は灰色の濁流でした。

いつもふらっと出かける近場の観光地なので、全然調べずに出かけてしまって、大変ショックでした。
観光案内所のHPでは、現在は御嶽駅周辺のみ、遊歩道に降りられるようです。
いつも遊歩道沿いの紅葉をくぐるのを楽しみにしてるのですが、今年は無理ですね…
…というか、こんなふうに毎年大きな台風が来るようになったら、もう渓谷の紅葉は二度と見られないのかも…
せめて川沿いの農家の方たちの被害が少なかったことを祈るばかりです。


     落ちたつり橋の橋げた         中身が持ってかれてしまった渓流沿いの東屋     ガーデンカフェ近くの川岸と濁った水

渓谷の紅葉をあきらめて、昭和記念公園に出かけてみました。
そろそろ池に冬の水鳥が来てましたし、定番の小鳥たちにはお会いできました。
こちらも台風の被害にあったコスモスですが、いくらか持ち直してました。
普通のコスモスは終わってましたが、イエローキャンパス、オレンジキャンパスはまだ咲いていました。
全体的にはあまり良い状態ではありませんが、色づきの良いお花の咲いている部分もありましたよ。
出かけた日には、日本庭園のもみじがきれいに色づいていました。今頃は、公園のあちこちで紅葉が見られるでしょうね。
機会があれば、また今月中くらいに紅葉を見に行けたらいいなあ。
…そして、渓谷の遊歩道もできれば復活しますように…


  水辺の草に留ったメジロさん     色づいた葉っぱとシジュウカラさん    モズ、ちょっと遠くてボケボケ…

        
ピンクにオレンジが入ったオレンジキャンパスとピンクのリングが入ったイエローキャンパス      日本庭園の紅葉




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