☆しろの雑記帳☆


6/30 ウィーンモダン展とトーハク

2019年は日本オーストリア国交樹立150周年とかで、関連展覧会がいろいろあるみたいですね。
先日のクリムト展に続き、国立新美術館ウィーンモダン展に出かけてきました。
こちらも目玉はクリムトなど19世紀末頃の美術ですが、しろ的には、18世紀からのウィーンの文化史全体の展覧会として面白かったです。
マリアテレジア、ヨーゼフ2世の啓蒙専制君主の治世から、ウィーン会議とビーダーマイヤー時代
フランツヨーゼフ1世のウィーン再開発、世紀末から20世紀初頭の分離派やウィーン工房の時代と
それぞれの時代を特徴づける絵画や工芸品、デザインもさることながら
風俗画や古地図など、時代の背景がわかる展示物が多かったのが、とってもツボでした。
久々に図録を購入してしまいました。最近の図録、装丁がきれいなんですが、持ち帰るのが重かった〜
画像は、例によってネットで盗んでまいりました…。(展覧会のポスターにもなっている、クリムトの肖像画だけ撮影可。)

          
      マリアテレジアの肖像画   ビーダーマイヤー様式って100年後のアールデコにそっくり  撮影可だった「エミーリエ・フレーゲの肖像」

例によって、展覧会一個だけでは交通費がもったいないと思い、東京国立博物館にも行ってきました。
現在特別展をやっていない時期なのですが、さすがトーハクさん、毎週のように変わる常設展示が今回も充実。
企画展示の沖縄のやちむん(焼き物)、沖縄産や交易品の食器や酒器、本土とは一味違うテイストが、独特のかわいらしさ。
金工マニアの垂涎、自在置物のコレクション。なかなか出品されないので、今回見られて貴重でした。
漆芸のコーナーにイエスズ会関係のものが出ていました。蒔絵の教会用品って、はじめてみました。
昔のカトリックの教会って結構派手好きだから、きらびやかな螺鈿細工は宣教師にも好まれたのではないでしょうか。

  
  「カラカラ」と呼ばれる水差し     イセエビの自在置物        螺鈿細工の聖書の書見台

着物や能衣装も夏っぽいものが出てました。行くたびに違う衣装があるんですが、トーハクさん、いったい何枚着物お持ちなんでしょう。
あと、撮影不可でしたが、南蛮人渡来図屏風がすごく良かったです。
当時の日本やヨーロッパの風俗が緻密に観察されながら、とてもスタイリッシュに図案化されていて
数ある南蛮屏風の中でも、素晴らしいものの一枚ではないかと。個人蔵だからか、HPでもあまり宣伝されてないですが、お勧めです。

しろ的に今回一番ツボだったのは、椿椿山の佐藤一斎夫妻像。佐藤一斎は、椿椿山のお師匠の渡辺崋山も描いていらっしゃいますね。
でも、私が驚いたのは、夫婦セットの肖像画。日本の人物画で、こういうの見たことないです。
2枚の軸それぞれに、夫婦が向きあう形で、ほぼ同じ大きさで描かれていて、なんか17世紀オランダの市民の肖像画みたい。
夫婦ともに、とてもリアルで、それぞれの人柄が偲ばれる絵で、日本の近代的自我の萌芽を感じて、感動しました。

    
日本刺繍が美しい能衣装               繊細でち密な筆致の、椿椿山作、佐藤一斎夫妻像

特別展がない上、平日とあって、入場者の半分以上は海外からのお客さまみたいでした。
今回は、日本と海外のかかわりを示すような展示もけっこうあったし、皆様どんな感想をお持ちなのかちょっと興味がわきました。
せっかく遠くから来ていただけたのですから、楽しんでいただけるとうれしいですよね。
しろも、今回はどちらの博物館の展示も好みだったので、とっても楽しめました。満足、満足。


6/23 アオガラさんと、お遊び記録

ロマンチック街道で見かけたアオガラさんを作ろうと思ったのですが、顔の模様が結構複雑で
なんだか目つきがヘンになっちゃうんですよ。何度か作りなおしてみましたが…う〜ん、なんとかこんな感じで…
同じくロマンチック街道の公園で見かけた西洋苧環がきれいだったので、合わせてみました。

    

とんぼ玉、3個です。よろしくお願いいたします。

ついでに、このところお出かけした場所をいくつか…。
まず、昭和記念公園のミックスフラワーガーデン。
毎年、広大な芝生広場の一角に作られる、とっても広いお花畑です。
いろんなお花がランダムに植えられているので、見る方向によっていろんな色が見えます。
毎年楽しみにしているお花畑で、今年も見られて良かった♪
実は一番見頃はちょうど旅行に行ってた頃で、一週間早ければさらにきれいだったかもです。

  
お花畑の中をお散歩できますよ♪

それから、都心にお出かけして、東京都美術館クリムト展近代美術館工芸館デザインの居場所を観賞。
国立科学博物館によって、薔薇園を眺めながらお弁当を食べたり、ビーズ展のミニ講演を聞いたりしてきました。
昭和記念公園の探鳥会にも出かけて、野鳥の会の方にドイツの鳥の名前を調べていただいたりしました。

   
  クリムト展の撮影スポット     デザイン展、19世紀のガーデンチェア        カハクの薔薇園        昭和記念公園のカイツブリの巣作り

実は数日名古屋に帰ってたんですが、愛知県岡崎市の山寺、瀧山寺に運慶仏を見に行ってきました。
こちらの運慶作の三体のうち、聖観音菩薩立像は東京国立博物館の運慶展でお目にかかったのですが、脇侍が来てなくて
おまけに脇侍の片方、帝釈天は、東寺の帝釈天騎象像にインスパイアされて、運慶が造ったとのこと。
先日、トーハクの東寺展で東寺の帝釈天様を見たばかりなので、ぜひこちらも見てみたかったのです。

宝物館は撮影禁止なので、画像は絵葉書を写真に撮って、パソコンで加工したものです。
立ち上がった帝釈天様は、東寺に負けない美形仏。運慶仏らしく、ポーズも決まってます。
でも、もう一体の梵天が写真よりずっとよくて、ちょっとびっくり。4本の腕の微妙な動きや、左右のお顔がとても魅力的でした。
後代にきれいに塗りなおされてしまっているので、肌の白さに負けて、写真だと立体感がわからないのかも。
宝物館はちょっと暗いのですが、後ろ側に回ってみることもできるし、それにもう一体、快慶作の可能性ありの仏もありました。
お寺はちょっと市街地から遠いですが、もし機会があれば、ご覧になって損はないですよ。

  
神仏習合の名残で、参道のふもとに鳥居があります  象から降りて立ち上がった帝釈天様   ちょっとなまめかしい梵天像


6/12 鳥写真とお土産など…

旅行を計画したときには意識してなかったのですが、5月はヨーロッパでは鳥の繁殖期。実は結構、鳥見時でした。
日本では冬鳥のカモ類も、春にヨーロッパで子育てしているんですね。
日本ではなかなか見られないガンの仲間も見られたし、ヨーロッパならではのかわいい小鳥もいました。
帰ってからネットで名前を調べたんですが、わからないのもあって、探鳥会で野鳥の会の方に調べていただきました。
お手数おかけして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

まずは、しろのあこがれの小鳥、アオガラさん、ドイツ語でBlaumeise(ブラオマイゼ)。Blauはブルー、Meiseはガラ類なので、ほぼ直訳。
私、シジュウカラが大好きで、ヨーロッパには青いガラがいると聞いて、ぜひ見てみたいと思ってたんです。
ディンケルスビュールの池の公園で、巣箱に出入りしているのを見つけたのですが、ガラ類素早すぎで、なかなか写真が撮れず
何度も通って、何とか撮れた貴重な一枚なのです。滞在中に撮影できて、ほんとによかった…。
パステルカラーのブルーの羽根が、とってもきれいな鳥です。

  
アオガラさんのお住まいの巣箱    子育て中のアオガラさん、ヒナに上げる虫をくわえてます   巣箱からのぞいてます…かわいい♪

お次はユーラシアのヨーロッパ側に住んでるシジュウカラの親戚、ドイツ語ではKohlmeise、英語ではgreat tit。
シジュウカラとは別種なのですが、ずっと亜種と思われていたためか、和名がないみたい。とりあえず、コールマイゼとよんでました。
シジュウカラよりちょっと大きくて、体色が黄色です。鳴き声はシジュウカラより甲高くて、金属的な音色でした。

やはり繁殖期で、ミュンヘンの植物園で雨の日に地面に落ちているヒナを見つけました。
びっくりして、植物園のスタッフの方に相談したのですが、触らずに親に任せるようにいわれました。
心配しながら見てたら、ヒナのさえずりに親が鳴き返し、そのうち餌を持って飛んできました。ああよかった。
…と思ったのですが、この後かなり土砂降りになったので、多分このヒナは助からなかったのではないかと…
でも、野鳥の会の方にも伺ったのですが、落ちたヒナに触ると親が世話をしなくなるし、日本では野鳥に触ると懲役刑もありうるとか。
もともと、成鳥になるのはヒナの1割以下だそうですし、弱ったヒナはそれを捕食する野生動物の貴重な食料でもあります。
人間の感傷で、自然をかく乱してはいけないのですよね。…でもシジュウカラ好きとしては、やっぱりつらいものがありますね。

   
落ちたヒナと給餌する親鳥。シジュウカラはヒナの方が黄色いのに、コールマイゼはヒナが白いんですよね。   黄色いガラだから、和名はキガラってのはどうかな?

昔は日本でもマガンが普通に見られたらしいのに、現在は日本海岸の一部にしか飛来しないとか。
ガンが見たいなあ…とずっと思っておりましたら、ドイツでたくさん見られました。おまけにヒナまで♪
灰色のはヨーロッパのガチョウの先祖、ハイイロガン、白黒のはカナダガン、私、カナダガンがヨーロッパにいるの知りませんでした。
カナダガンはハドソン川の奇跡でボーイング737を不時着させた鳥です。なるほど結構でかくて、白鳥より一回り小さいくらい。
写真はニュンヘンブルク城のお庭にいたものです。私、ガンが見られたのがうれしくて、見るたびに写真撮りまくってました。

  
  池のほとりでくつろぐハイイロガンとそのヒナ       カナダガンの一家、白黒の模様が美しいです     カナダガンのヒナ、もふもふですね

マガモは日本でも冬鳥で見かけますが、普通繁殖はしないので、ヒナを見たのは初めてです。
ディンケルスビュールの池で見たマガモ一家。カルガモのヒナによく似てますね。
ヒナを連れていないカモも、だいたいはつがいになってました。写真はストラスブールで撮ったもの。
水路に面した古い家のポーチにいましたが、なんだか童話の挿絵のようでした。ヨーロッパではカモも絵になりますね。

   
ディンケルスビュールの池のマガモ一家、パン屑をあげて遊んでもらいました        絵になる古い家とカモの夫婦、この後2匹で水路を泳いで行きました

繁殖中の鳥は他にもいろいろ…。
バンベルクで見た水鳥、メスが黒くてかっこいいカモだなあと思ったのですが、調べてもそんな鳥はいなくて…
どうやらアヒルの一家だったようです。…どこから逃げてきたのでしょう。いいのかなあ。でも、ヒナも黒くてかわいかった。
オオバンはオランダの運河で山ほど見ましたが、5月が繁殖期なんですね。ディンケルスビュールの池にいた子沢山の一家でした。
これもディンケルスビュールで、博物館の窓から隣の棟の屋根を見たら、旅番組でよく見かけるコウノトリの巣が!
屋根に設置された巣台の上に、でっかい巣と白い鳥影が見えます。コウノトリ、ヨーロッパでは大切にされてるんですよね。
受付の人に聞いたら、カメラで定点観測しているライブ映像があって、ヒナがいるのが見られました。

   
逃げてきたのか、どこかのペットなのか、アヒルのご一家    オオバン一家、ヒナはもっといました     コウノトリ、初めて見たかも…でも遠くて肉眼では白い影にしか見えませんでした

そのほか鳥いろいろ、赤い胸のヨーロッパコマドリ、この日は雨でびしょぬれでしたが、目の前に飛んできてくれました。
カケスは日本にもいるんですが、ちらっとしか見たことなくて、一瞬でしたが結構近くに降りてくれてうれしかったです。
クロウタドリはそこらじゅうにいて、大きな声で歌ってました。朝、鳴き声で目が覚めると、ああヨーロッパだなあ、って気がします。

  
雨の日のびしょぬれコマドリ(アウグスブルク)    カケス(ディンケルスビュール)    クロウタドリ(ネルトリンゲン)

ヨーロッパにいるのは、カワラヒワではなくて、アオカワラヒワのはずなのですが、あんまり体色が青くみえない…
茶色と白/茶色のヒタキは名前がわからなくて、野鳥の会の方に図鑑で調べていただきました。
茶色い方がシロビタイジョウビタキのメス、白/茶色のはムナフヒタキということでした。
ムナフヒタキは亜種がアジアにいて、日本でも迷鳥として見られることがあるそうです。
どちらもネルトリンゲンの水路にいました。ヒタキって、目がまん丸でかわいいですよね。
白黒の鳥はズグロムシクイ、英語でBlackcapですが、台所用の防虫剤ではありませんよ。

   
青くないアオカワラヒワ(ネルトリンゲン)    シロビタイジョウビタキ(ネルトリンゲン)    こくびを傾げたムナフヒタキ(ネルトリンゲン)    ズグロムシクイ(ミュンヘン)

ついでにあちらで購入したお土産をいくつか…。
日本の女性用雨傘って、石突と持ち手が長すぎて、チビのしろが持つと引きずってしまうのです。
なかなか良い傘に出会えず、そのうち海外ででも買おうかなあ…と思ってたところに、ストラスブールでこれを見かけて、つい購入。
大聖堂の薔薇窓模様。実はかなり印刷ずれてたりしてますが、結構気に入ってます。なぜか長さもぴったり。
なぜ白人が多い国で購入した男女兼用の傘が、日本女性としてもかなり小さい私にちょうどいいのか、謎なんですが、そうなってます。
ただ、飛行機で預けるため、梱包するのが大変でした…無事に到着してよかったです。

フランスのコルマールの古本屋で購入した、ドイツの植物図鑑。石板画の挿絵がお気に入りです。
20世紀初頭、アルザスがドイツ領だった時代の出版です。何冊ものシリーズらしいですが、3冊だけあって、全部買ってきました。
ローテンブルクの定番お土産の銅版画、投げ売りのかごから拾ってきたのですが、額に入れたらなんだか見違えました。
ニュールンベルクの錫職人さんのグラス。持ち手部分が葡萄柄の錫細工です。でも、うちではグラスじゃなくて、花瓶になりそう。

   
旅行中もお役立ちだった薔薇窓の傘    1905-1906年出版の植物図鑑   手彩色の銅版画、紙の黄ばみもなかなかいい感じ     古風な葡萄柄がお気に入り

なんか、すっかり長くなってしまった旅行記でした。ご退屈でなければよかったのですが…(汗
バイエルンは遥か昔に行ったことがあるのですが、この年になって再度訪問しても、とても素敵な場所でした。
訪れたどの街も古い石畳に古い水路が残っていて、そこに緑があって、鳥が鳴いていて…心に潤いを持って暮らせそうな場所でした。
実際バイエルン州は、観光地としても整備されていて、交通費の割引などもあるし、他の地域より個人旅行しやすいと思います。
博物館や歴史的建造物も興味深いし、食べ物もおいしいし、また機会があったら旅行したいなあ…

さて、いくらなんでも、これ以上さぼっていられないので、そろそろお仕事に復帰せねば…(大汗
また新作できたらご紹介いたしますので、そちらの方もどうぞよろしくお願いいたします。


6/11 中世金融都市、アウグスブルク

最後の訪問地アウグスブルクにはミュンヘンから日帰りでお出かけしたのですが、残念ながらこの日も雨。
でも、傘さしながら頑張って観光してきましたよ。
南北に延びる旧市街の真ん中のメインストリート沿いに、歴史的建造物やお屋敷跡が並んでいます。

  
ルネサンス様式の由緒正しい市庁舎        商業の守り神、メルクリウスの像の噴水     メインストリートの景観

市庁舎の4階にある黄金のホールは見学できます。名前のとおり、金色に輝く装飾に往時の繁栄が偲ばれます。
ホールの脇の小部屋にアウグスブルクの姉妹都市についての展示がありました。
日本の姉妹都市、長浜市と尼崎市についての紹介もあり、日本から贈られた品物がたくさん飾られていました。

   
 ホールは市の行事に使われています   金色の装飾とフレスコ画の天井    人形、鎧兜、羽子板、扇子、お茶碗などなど、いっぱいありました

アウグスブルクといえば中世の豪商フッガー家、そしてフッゲライ。
フッガー家は金融業、鉱山業で財をなした豪商、都市貴族で、慈善事業として低所得者向け集合住宅フッゲライを設立しました。
この集合住宅、現在もフッガー財団によって運営され、入居者がいます。家賃は中世から変わらず、現在の通貨で1ユーロ弱!
昔の住居が博物館として復元されています。ヨーロッパの住宅事情からすれば広くはないでしょうが、日本の家としてはかなりの面積。
博物館には現在の入居者らしい写真もありましたが、きれいにリノベーションされて、なかなか暮らしやすそうです。
博物館には、フッガー家の商業活動や、中世の鉱山、交易などについての展示もあります。

  
        フッゲライの入り口     内部はとても広くて、共用の庭などもあります    復元された寝室(ベッドの上の十字は入館者が乗らないためのもの)

フッガー家のお屋敷の跡地は商業施設になってますが、建物正面にその旨を記載したプレートがありました。
さすがに各国の王様、諸侯の御用達銀行だった大財閥にふさわしい、巨大な面積のお屋敷です。

  
市街地にあるフッガー家の一人の像   オレンジの壁の部分がフッガー屋敷跡です    フッゲライ博物館の展示にあった当時の交易地図

アウグスブルク大聖堂、ネットで調べるといろんな時代の教会が重なった複雑な建築のようです。
ちょうど小学生くらいの子供たちの団体が来ていて、パイプオルガンの周りに集まってました。
説明されてる方がいろんな曲のさわりだけ演奏して下さって、子供たちと一緒に音楽を楽しみました。
聖堂の近くに、NHKのふれあい街歩きで紹介されていた、聖堂付き少年合唱団の練習場所があります。周りの路地が良い感じ。

  
         大聖堂入り口             聖堂から続く回廊           路地の小さな扉が練習場に続いてます

この街にもやっぱり旧市街を流れる水路があるのですが、ときどき暗渠になったり、広場の周りを流れたり
それぞれの街の水路が、その街ならではの景観を作っているのだと思いました。
ふれあい街歩きで紹介されたポイントもいくつかめぐってみました。どれだかわかりますでしょうか。
ただ、お天気がよくなかったのが、やっぱり残念…

   
二つの水路の間の広場            城壁の堀の近くの庭園           水路に架かる水車            水路沿いの小さな教会

こちらはアウグスブルクで見つけたイートインのあるお肉屋さん。バイエルン名物、ゆでた白ソーセージをいただきました。
白ソーセージはゆでて食べるのが本当なのですが、街のソーセージスタンドでは焼いて出しているところが多く
こちらでやっとゆでたのが食べられました。おいしかった〜〜。お作法どおり、ちゃんと皮をむいて、専用のからしで食べました。
このあと、ミュンヘンの駅のイートインでも一軒だけゆでているお店を見つけて、そこでもいただきました。

  
白ソーセージがおいしかったお肉屋さん       こちらはミュンヘンの駅のお店でテイクアウトしたものです

各都市の紹介はこれでおしまいです。
ヨーロッパ中世都市ヲタ旅行のつもりだったのですが、読み返すとなんだか、古都水路めぐり旅行になっていたような…。
中世都市にとって水利は重要でしたから、まあ不思議はないのかもですね。
古い水路は今でも残っていて、現在の市民の憩いの場所になっていました。
水路に限らず水辺には、美しい景観や、緑や草花、鳥の声があふれていて、観光客にとっても素敵なお散歩道でした。
時々雨もありましたが、季節もよくて、とても気持ちの良い旅行ができました。

次回はしつこく、旅行中出会った鳥たちや、お土産などの紹介をさせていただきたいと思っております。
よろしければもう少しだけお付き合いくださいませ。


6/10 緑あふれる大都会、ミュンヘン

こちらはレーゲンスブルクからミュンヘンに向かう車窓風景です。…翌日から雨だったので、最後の晴れの日でした。
黄色いのは菜の花、菜種畑です。ちょうど満開でとってもきれい。
旅行中ずっと、車窓はこんな感じの田園やなだらかな森でした。バイエルン南部はアルプスですが、他の地域は起伏が少ないんですね。
日本だと、自然の中を歩くというと、山に行くしかないので、なだらかな森が広がっているのがうらやましかったです。
ヨーロッパのトレッキングツアーっていうと、スイスの山が多い気がするけど、ドイツの森を歩くツアーならぜひ参加したいかも。

 
多分麦畑だと思います                  広大な菜種畑、遠くに森が見えます

ミュンヘンはドイツでも有数の大都市です。博物館や歴史的建造物も多いですが、公園や庭園もたくさんありました。
まずは、仕掛け時計で有名な新市庁舎。ネオゴシックの壮麗な装飾が美しいです。中庭はレストランになってるようです。
日に何度か仕掛け時計の動く時間になると、広場に観光客が集まってきて、みんなスマホやカメラを構えて待ち受けます。
私もつい動画を撮っちゃいましたが、自分で撮らなくても、youtubeにもっときれいな映像が上がってますよね。(笑

  
新市庁舎のファサード     上段の騎馬試合でバイエルンが勝つと、下の人形がお祝いのダンスをします   中庭の装飾も豪華

その町のご領主さまのコレクションが美術館になっているのはよくありますが、さすがバイエルン王家の収集品は素晴らしいです。
ヴィッテルスバッハ家所蔵の古典絵画を収めたアルテピナコテーク、好みの画家の絵がたくさんあって、見ごたえありました。
一部画像を上げましたが、他にもヴァンダイク、レンブラント、ティツィアーノ、ダヴィンチ、ベラスケスなど、そうそうたる顔触れ。
あの有名な絵は、ここにあったんだ〜、という感じで、いわゆる「教科書に載っている絵」がたくさん見られる美術館です。
しろ的には、フランスハルスの大きな肖像画が見られたのがうれしかったかな。ハルス好きなんですよ。
おまけに、この日はなぜか常設展1ユーロ!(理由不明。事前にそんな情報なかったんですが…)大ラッキー♪


フィリッポリッピの聖母子  デューラーの自画像(写りこみがあってすみません…)  ラファエロの聖家族      フランスハルスの肖像画     ブーシェのポンパドゥール夫人像

ヨーロッパでは教会コンサートを楽しみにしているのですが、今回、うまく日程が組めずに良いコンサートがありませんでした。
というわけで、初めて「音楽付きミサ」というのに潜り込むことに…ミュンヘンの旧市街中心部のバロック教会、ミヒャエル教会です。
無神論者なので、宗教行事に参加するのはためらわれますが、キリスト教会は信者以外にも寛容なはず…。
当然説教はドイツ語ですし、式次第はわからないし、隅っこの席で、音楽が鳴っているとき以外はなるべく小さくなってました。
でも、バロック教会、音響は素晴らしいですね。聖歌隊の合唱(曲名不明)が本当に天上に上るような響きで、うっとりでした。
この、石造りの教会の音響は、ほんとに現地でしか聞けないんですよね。迷ったけど、思い切って潜り込んで良かった。
途中、お賽銭籠が回ってきたらコインを入れ、音楽用の献金箱にはお札を入れ、とりあえずご迷惑はかけてないはず。
でも次回は、できればちゃんとコンサートで聞きたいと思います…。

 
きらびやかで音響も素晴らしいミヒャエル教会、ルードヴィヒ二世のお墓があるそうです(行ってないけど)

ミュンヘンの旧市街のすぐ外に英国庭園という広大な公園があります。(名前は庭園ですが、どちらかといえば公園だと思う。)
なにしろ長さ数キロにわたる緑地で、昭和記念公園も真っ青の広さ。おまけに入場無料。
広大な森と草原、ミュンヘンを流れるイザール川を引きこんだ小川が行く筋も流れ、中にビアホールもあり、市民の憩いの場所です。

公園の入り口の川の引き込み口が、ドイツで今はやりの川サーフィンのメッカになってます。
流れにうまく乗れば、左右にターンしながらずっと続けられるんですよ。旅番組で知って以来、一度見てみたいと思ってました。
おじさんからお姉さんまで、たくさんのサーファーが腕を競い、見物人もいっぱい来てました。
家族連れやカップルが草地でくつろいでいるのは、昭和記念公園でもよく見る光景ですが
ワンコがリードなしでお散歩していているのはやっぱりドイツです。どのワンコも毛並みがよく、とてもお行儀がよいのです。
小川でワンコがとってこいをやってるのを、ずっと眺めてました。ドイツのワンコ、かわいいです…。
日曜日だったためか、ビアホールの塔に楽隊が入って、お客さんもいっぱい。観光馬車も走ってました。

   
公園名物川サーフィン        広大な草地の一角のあずま屋(築山がすごい傾斜)     ビアホールの塔と観光馬車       森の草地で犬とくつろぐ市民

旧市街から北西の方に、ヴィッテルスバッハ家の夏の居城、ニンフェンブルク宮殿と、その隣に植物園があります。
植物園は、宮殿のお庭に通用口みたいな通路でつながっていて、多分もとは宮殿の敷地だったんでしょうね。
何部屋にも分かれた大きな温室、美しい花壇の庭園、ハーブ園、池や森、高山植物園などがあります。
前日の夜から雨だったので、花壇のお花はちょっとしおれてましたが、さすがに高山植物は元気に咲いてましたよ。
アルプスに見立てた築山に、高山植物を植えたロックガーデンで、珍しいお花がたくさん咲いてました。
課外授業の小学生らしい子供たちや、植物好きの中高年のツアーなどが来てました。

  
いろんな品種のフクシアが咲いてました           庭園の花壇             高山植物園が咲き乱れるロックガーデンと池

植物園の隣のニュンヘンブルク城。バロック建築のお城と、広大なお庭、お庭の森に点在する美しい離宮が見どころです。
ここも学生時代に来たことがありますが、当時はシーズンオフで離宮には入れなかったんですよね。
今回は離宮も制覇したいと意気込んでやってきたのですが、宮殿についた途端に雨足が強くなり、雨のお散歩となりました。
離宮は、狩猟のための離宮、お風呂の館、東洋風のあずま屋、チャペルなど、それぞれ特色のある美しい建物です。
でも、雨の中2時間半歩くのは結構大変で、ストラスブールで買った薔薇窓模様の傘が大変役に立ちました。
お庭の森を歩いていたのはほぼ私だけで、何と野生のシカに出会いました。宮殿は広いけど市街地にあるんですよ。ちょっとびっくり。

   
バロックの宮殿ですが、外観はちょっとかわいい感じ   こちらは本城のホール           お庭の森の中に建つ狩猟用の離宮            東洋風の離宮の内部

ミュンヘンの市街地は賑やかな都会ですが、文化施設も多いし、緑地もたくさんあります。
英国庭園や宮殿のお庭は無料ですし、ワンコ連れの市民の憩いの場所になっていて、ちょっとうらやましかったです。
お天気が悪かったのは残念ですが、旅の終盤に緑の多い場所をたくさん歩けたのは、うれしかったかも。

次は最後の訪問地、アウグスブルクです。


6/9 帝国議会の街、レーゲンスブルク

レーゲンスブルクでここだけは行ってみたかったのは、神聖ローマ帝国の議会場です。
帝国議会とは、神聖ローマ帝国の「帝国等族」つまり、帝国に属する都市や領主などの代表が集まる会議で
選帝侯(皇帝を選ぶ権利を持つ)、諸侯、高位聖職者、帝国自由都市などに分かれた身分制会議だったそうです。
17世紀半ばから、議会場がレーゲンスブルクに置かれていたそうで、歴史の本でそれを描いた銅板画などを見たことあります。
会議での権限に差はあるとはいえ、小さな町の代表も参加権を持ってたそうで、西欧の議会制度の源流の一つなのでしょうね。

  
帝国議会場のある旧市庁舎の入り口          こちらが議会場               ウィキペディアから盗んできた17世紀の銅版画

レーゲンスブルクでもう一つ有名なのが、大聖堂。豪華な装飾やステンドグラスも美しかったです。
大聖堂の聖歌隊も有名で、去年ドレスデンの教会で聞いたコンサートは、こちらの少年合唱団でした。
レーゲンスブルクの街は帝国自由都市でしたが、レーゲンスブルクの司教やいくつかの修道院も帝国等族だったそうです。
有力な自由都市と、大きな教会勢力が、同じ街に併存していたとは、収税権や周辺の土地などの権利関係とか、どうなってたんでしょう。

  
巨大で美しい大聖堂            装飾も華麗です           ステンドグラスも立派でした

レーゲンスブルクの街を歩くと、西側には帝国議会のある市庁舎や、市民の街が広がっていますが
大聖堂より東側は、教会や、もとは教会の施設だったと思しき建物がぎっしり並んでいます。寺町っていう感じ。
現在は平和で美しい古都ですが、なんだかかつての街の内部の緊張関係が偲ばれる気がします。
実は、ここでは修道院の宿坊に泊まりました。安いし、朝食もおいしくて、大変お世話になりました。

  
            いろんな時代の教会の建物が立ち並んでいます           こちらがお世話になった宿坊の入り口

レーゲンスブルクにはドイツで一番古い石橋があります。
橋のたもとの塔は博物館になっていて、上に登るとレーゲンスブルクの町や橋を眺めることができます。
橋に置かれた小人の像は、レーゲンスブルクの街が、教会勢力をけん制するため、大聖堂を見張る形に作ったのだとか。
確かに橋から見ると、塔の向こうに大聖堂が大きく見えるんですよね。

   
石橋の向こうの旧市街に高くそびえる大聖堂   博物館になっている橋の塔       上から見ても大きな橋です    大聖堂を見張る橋の小人

川沿いはやっぱりお散歩道で、観光客が眺めを楽しみながらくつろいでいました。
街の西側の旧市街区には古い家並が残っています。細い路地をぐるぐる回って、木組みや石造りの家を眺めて歩きました。
旅番組でも紹介されてましたが、昔の塔がたくさん残っていて、住居として利用されているようです。
市街地の真ん中で、城壁の見張り塔でもないのに、塔の形の建物がこんなにあるのはちょっと不思議でした。
もしかしてこれも、東側の教会勢力に対抗するため…?とか、いろいろ想像をたくましくしてしまいます。

  
    川辺でくつろぐ観光客   この家、NHKふれあい街歩きで紹介されてました   こんな塔が市街地にたくさん建っているのです

レーゲンスブルク、中世の複雑な社会を垣間見せてくれる、大変興味深い街でした。
でも、旅行も終盤で、ちょっと疲れてて、ここの歴史博物館はパスしてしまったのです。中世都市ヲタとしては、ちょっと後悔…
機会があったら、街と教会勢力の関係について、もう少し知りたいなあ。

次は、緑あふれる大都会、ミュンヘンです。


6/8 水辺の古都バンベルク

バンベルクには、ニュールンベルクから日帰りでお出かけしてきました。
第二次大戦でも破壊されなかった美しい旧市街は世界遺産に指定されています。
街はレグニッツ川の川沿いや中洲に広がる市街地と、高台の大聖堂広場に大きく分かれ
川にかかるたくさんの橋と、広場につながる階段が、街に独特の景観を与えています。

まずレグニッツ川の小さな中州に建てられた旧市庁舎。
中洲の両側に架けられた橋が、旧市庁舎をくぐるアーチにつながるという、面白い構造です。
バンベルクの観光写真で、必ず取り上げられている風景ですよね。

  
         川の中州に建つ旧市庁舎         西側の橋からアーチをくぐります  対岸の水辺から見上げる角度も美しいです

街の見どころはいろいろ。
昔のお屋敷が並ぶ、美しい旧市街の街並み。訪れた日は朝市がたってました。
街に繁栄をもたらしたレグニッツ川には、今でも昔の交易の名残の荷揚げ用クレーンが残っています。
中洲に建つ小さなお城、ガイヤースヴェルト城は司教の離宮だったとか。お城の塔が、NHKのふれあい街歩きに出てきたんですよね。
現在は公共施設になっていて、塔には上がれませんが、お城の中庭は無料で入れます。

   
この屋台のリンゴ、すごくおいしかったです       河岸に残る古いクレーン       ガイヤースヴェルト城の中庭と塔    木組みの模様が不思議な町屋

今回の旅行ではいろいろな街を訪れましたが、どの街も水辺の景色が美しかったです。もちろんバンベルクも。
街を流れる川には中州がたくさんあって、そこにかかる橋がどれも素敵でした。
中洲沿いに橋の下をくぐって水辺に出られたり、河岸のお散歩道から対岸の美しい町並みが見えたり…。
水辺には必ず緑があり、水鳥がいて、訪れる人の心を和ませてくれます。

   
   橋の上の聖人像       お散歩道の野の花と対岸の街並み      中洲の間の水路の水門です     川沿いの道と川に架かる橋

中洲の旧市庁舎は現在、陶磁器博物館になってます。実は、旧市庁舎の建築や、中洲の上からの景色に興味があって入ったのですが
ストラスブールの博物館で見た同じ窯元の食器がたくさんあって、うれしい驚き。南ドイツでは知られた窯元なんでしょうか。
やっぱり、このボタニカルアート系の花柄、好みです♪
建物の中は博物館用に改装されてましたが、階段の手すりが焼き物だったり、これはこれで面白かったです。

  
この植物や昆虫の細かい描写が、しろのツボ

川の南西の高台に、大聖堂と、新旧の司教の宮殿があります。司教は街の領主でもあり、高台から街を見下ろしていたわけですね。
旧宮殿は現在歴史博物館で、考古学、バンベルクの水運、チター(楽器)の変遷、地元の芸術家の作品、街のユダヤ人街の歴史など
多岐にわたる展示がありました。おもしろいんですが、古い宮殿の内部が迷路みたいで、大変迷いました…。
新宮殿は復元された宮殿のお部屋をツアーで見られます。ガイドはドイツ語ですが、内容を記載した日本語の冊子を借りられます。
美しい宮殿でしたが、大広間以外は撮影禁止で残念。新宮殿の幾何学式庭園は入場無料で、バンベルク市街が見渡せます。

  
バンベルク大聖堂    ルネサンス様式の旧宮殿(内部は歴史博物館)          バロック様式の新宮殿

   
旧宮殿の内部、古い建物が美しいです   バンベルクで作られていた陶板画の美人画    修復中の新宮殿の大広間   新宮殿の庭園(薔薇園が咲いてなくて残念)

東山魁夷先生の「バンベルクにて」。
どこの窓枠かと思ったら、大聖堂の入口の前の階段というか、テラス部分の手すりなのだそうです。
石の手すりの透かし彫り越しに、バンベルク市街を見下ろしてみましたが、私のカメラではなかなか同じ構図になりませんでした。
枠の中に見えている塔や彫刻と思われるものを別に撮影してみましたが、どうでしょうか…

  
  東山先生の「バンベルクにて」             大聖堂の手すりの透かし彫り               中に見えていると思われる風景

次は、神聖ローマ帝国議会が置かれたレーゲンスブルクの街です。


6/7 職人と交易の中世都市ニュールンベルク

すみません、ちょっと所用で間が開きましたが、また旅行記の続きです。
ローテンブルクから乗ろうとした列車が壊れたり、またいろいろありましたが、一応無事にニュールンベルクに到着。
ロマンチック街道の街々に比べれば、ずっと巨大な城郭都市で、往時の繁栄が偲ばれます。
特徴のある太くて丸い塔が並んだ立派な城壁に囲まれ、広場や教会もたくさんあります。
神聖ローマ帝国の皇帝がお城を持っていたり、画家のデューラーや職人歌手のハンスザックスでも有名ですよね。
滞在中ずっと、「ニュールンベルクのマイスタージンガー前奏曲」が頭の中でリフレインしておりました。
(…でも、去年もそうでしたが、西ヨーロッパあちこち工事中みたいで、ハンスザックス像もなんかかわいそうなことになってましたが…)
街もきれいですが、博物館も充実していて、すごく楽しめました。というわけで、写真が多くて申し訳ありません。
こちらではキッチン付きのアパートホテルに滞在して、スーパーで買ったアスパラガスやソーセージを食べてました。おいしかった♪

   
街のシンボルの丸い塔は、近くで見るとでかいです    堀の跡は緑地になってました       広場の教会と朝市    工事現場に囲まれたハンスザックス像

神聖ローマ皇帝のお城は街の城壁沿いの高台にあります。お城からの街の眺めも美しいのです。
ただ、お城は現在修復工事中で、ろくな写真が撮れませんでした。いかにも「お城」な写真がなくて、申しわけありません…。
お城の博物館は営業していて、神聖ローマ帝国についてや、皇帝とニュールンベルクの関係についての展示があります。
お城の城壁の堡塁がお庭になっていて、春のお花が咲いていました。

  
街からお城に続く坂道                お城の中のホール                お庭の花壇

お城のすぐふもとの辺りに、デューラーの家があります。なるほど、皇帝も重要顧客の一人だったんですよね。
でも、現在、デューラーの作品はここには残っていません。
作品は市内のドイツ博物館にもありますが、代表作は後で訪れたミュンヘンの美術館の方が多かったかも。
お屋敷も住人が入れ替わっているので、どこがアトリエだったとか、正確にはわからないのだとか。
でも、ここは日本語ガイドフォンがあって、複製画を見ながら絵の解説を聞くことができます。母語だとやっぱり楽ですね〜。

   
     市内のデューラー像           お屋敷の外観          ここだけは正確に復元されているらしい台所  アトリエという設定で復元された部屋

昔の家の復元は他にもあります。古民家を利用した18/20/22博物館。(博物館の名前は昔の番地によるそうです。)
復元された室内の他、中世から近代にかけての都市生活、職人についての展示があります。
同様の趣旨の博物館はあちこちにありましたが、ここは展示が新しくて、英語の解説もわかりやすく、大変楽しめました。
昔の家の壁の断面がわかるように復元されていたり、塗りつぶされた昔のフレスコ画を修復してあったり、とても興味深いです。
私ならぴったりサイズの小さな屋根裏に、白人観光客が入れずに困ってました。昔のドイツ人は今より小柄だったのでしょうね。

   
靴職人の仕事場(ハンスザックスにちなむのでしょうか)    鍛冶屋の仕事場      壁の構造がわかります           お風呂についての展示

フェンボーハウス。こちらは民家ではなく、豪商のお屋敷の復元です。やっぱり広くて豪華。
壁や天井、階段の装飾も手が込んでますし、当時の家具調度や絵画も飾られていました。
大きな交易都市の都市貴族の豊かな生活がしのばれます。ただ、英語の解説が少なくて、残念…

   
外観は質実剛健な感じのお屋敷    天井の漆喰細工がすばらしいです       階段の装飾も立派    この家の親戚宅のジオラマ、すごくリアルで豪華

ニュールンベルクには実は学生時代に来たことがあるのですが、そのときシーズンオフで入れなかった観光地が「中世職人広場」。
今回楽しみに訪問したのですが、どちらかというとアート系の作品や、アンティークショップ、そしてお土産屋さんや飲食店の方が多くて
あまり「職人の…」というイメージではなかったです。…昔だったら、もっと伝統工芸的なお店が多かったのかなあ…
その中でほぼ唯一、職人芸という言葉がぴったりの錫細工のお店。(…旅番組でもここばかり取り上げられているのが、納得…)
職人歴うん十年のおじいさんが作られた作品が、所狭しと並んでいます。
葡萄柄の錫の持ち手部分にガラスのカップを組み合わせたグラスを購入。
「日本のテレビで見ましたよ!」って言ってみたら、「知ってるよ」とのこと。日本から何度も取材されてますものね。

   
旅番組で何度もお目にかかっている有名職人さん    すべてこの方が作られたのだとか。すごいなあ。

ニュールンベルクで一番大きな、ドイツ博物館。とにかく広いです。ドイツやヨーロッパについての歴史展示が主ですが
宗教美術、絵画、服飾、家具調度、食器類、楽器、おもちゃ、庭用彫刻、馬車などなど、広い館内にさまざまなものが展示されています。
大きな博物館だと知っていたので、夜間営業(9時まで)の日に夕方から出かけたのですが、あまりに広くてへとへと。
結局8時半ごろ帰りましたが、足も棒でぐったりでした。でも、いろんなものが見られておもしろかった〜。

   
    古楽器のコレクションは充実     ロココの衣装もたくさんありました      昔のストーブ     有名なクラナハのマルティンルターの肖像画

ニュールンベルクの旧市街の真ん中を東西に川が流れています。そこにかかっている橋を全部渡ってみることにしました。
橋はいろいろ。金属のつり橋、石橋、古い木の橋、もちろん新しい自動車道路の橋も。城壁も川の上部分は橋といえばいえますよね。
旅番組で川の上の城壁を渡れるような情報もあったのですが、城壁内で営業しているはずのレストランがなぜかお休みで渡れず。
反対側の城壁沿いのつり橋は渡れました。これは中世からあったわけではないでしょうが、景色にマッチして美しかったです。
川の中州に渡って、さらに反対側に渡ろうとしたら、橋の上が住居になってて入れなかったところがありました。
橋の上に続く階段は登れるのですが、ドアが閉まってて呼び鈴がついてました。こんなところに住めるなんて、うらやましい…
川沿いはだいたい緑地になってて、水鳥がたくさんいました。カモだけじゃなくて、ガンもいましたよ。
かなり水に近づけるところもあって、水鳥にパンをやって遊んでもらいました。
ちょっとお天気悪かったし、全部歩くとかなりの距離なんですが、水辺の景色が美しくて、長めのお散歩も楽しかったです。

   
緑の中のつり橋、右手は城壁の裏です     古い屋根付きの木の橋            こんな橋に住んでみたい…           川の上に建つ養老院です

ロマンチック街道に比べればほんとに都会で大きな町なのに、旧市街は水や緑にあふれて美しかったです。
旅番組で城壁の塔に住んでいるお宅が紹介されてましたが(外観だけですが、見てきました)、古い橋も住居になってるんですね。
古い建物を活かして、街の景観を保存し、住んでいる人も観光客も楽しめる街づくりがされていて、うらやましかったです。

次は、こちらも水辺の古い街、バンベルクです。


6/1 城塞都市ローテンブルク

さて、ディンケルスビュールからやっぱりローカルバスで、ローテンブルクに移動。今回は乗り換えもあり、またドキドキ…。
でも、バスの窓から見るドイツの田舎も素敵ですよ。…なかなかうまく写真撮れないんですが…。
帝国自由都市ローテンブルク、第二次大戦でほぼ破壊されたのが、住民の努力で再建されたのも有名ですよね。
実は、学生時代の周遊旅行でも行ったことあるのですが、何度でも訪れたい素敵な街です。

まずは市庁舎周辺。…実は、広場の一角が修理中で、なかなか思うような角度で写真が撮れませんでした…
それでも、立派な市庁舎や広場の噴水、街を飾る美しい看板の列など、見どころはたくさん。

  
広場を囲む美しい木組みの家      広場の噴水と市庁舎        ローテンブルクの看板は有名ですよね

街並みも独特の美しさがあります。
ローテンブルクは、タウバー川の渓谷の上の丘に建てられた街ですが
街を拡張するとき、丘の尾根沿いに城壁を広げていったため、街の形も複雑で高低差もあり
城壁内に昔の城門が残っていたり、川の渓谷を隔てて街の反対側が見えたり、この街ならではの景観があります。


街の内部に残る昔の城壁の門   美しい木組みが有名な昔のかじ屋(今は民家)  趣ある古民家(今はレストラン)  城門公園と渓谷を隔てて見える街の反対側

ローテンブルクで有名なのが、ヤコブ教会に残るリーメンシュナイダーの祭壇彫刻。
むかーし来たときにも見たはずなのですが、あらためて見るとまた違った感慨がありますね。
表情豊かなユダが、イエスより祭壇の真ん中に来ているのは、何か意図があるのでしょうか…。
リーメンシュナイダーはヴュルツブルクの市長を務めた有名彫刻家でしたが、ドイツ農民戦争で農民側を援助した罪で腕を折られたとか。
リーメンシュナイダーの彫刻は、ドイツ南部のあちこちに残っているそうで、機会があれば他のものもみてみたいです。

  
ヤコブ教会、ステンドグラスなども美しかったです   有名なリーメンシュナイダーの聖血祭壇          左上がイエス、右がユダ

ローテンブルクで有名な博物館といえば中世犯罪博物館ですが、こちらは以前行ったので、他の博物館をのぞいてみました。
市庁舎博物館はローテンブルクの歴史についての展示。展示方法が古くて、マネキンのジオラマとかちょっと笑っちゃいますが
内容は興味深いものでした。30年戦争の影響がこの地域にとってどれほど大変だったか伝わります。
「職人の家」博物館は、中世の町屋をほぼそのまま展示したもの。それだけで大変貴重な体験でした。
リノベーションされた古民家は観光客に大人気ですが、そのまんまの昔の家って、暗い、寒い、湿っぽい…
なにしろ、フラッシュなしで撮影したら、暗くて何が写っているかわからない写真が大量に…(涙
靴屋のお宅という設定のようで、一階の作業場と台所、二階の住居、屋根裏などが展示されてます。本当に興味深い展示でした。
帝国歴史博物館は中世の修道院を利用した博物館。歴史展示が主ですが、修道院の台所の再現が面白かったです。
それぞれ大きな博物館ではないですが、中世都市ヲタ的にはどれも大変興味深かったです。

    
市庁舎博物館、有名なマイスタートルンクの展示     職人の家、靴屋の仕事場     帝国歴史博物館、修道院の台所の復元

ローテンブルクのお土産としてよく売られているのが、街の風景を描いた銅版画。
風景自体が美しいので、どこを切り取っても絵になるんですよね。
それから、シュネーバル(雪玉)と呼ばれるお菓子。丸く成形した揚げ菓子にパウダーシュガーをかけたものが伝統的ですが
今はいろんなフレーバーのものが売られています。日持ちもするそうですよ。
私はケーキと一緒に、小さめのチョコレート味のをいただきました。サクサクしておいしかったです!

  
ウィンドーの銅版画(私の買った店ではないですが)   生クリーム絶品のケーキとチョコのシュネーバル        お菓子屋さんの店先

ローテンブルクの城壁も見張り台を歩くことができます。
でも渓谷に面した側には見張りの通路はなくて、どうやら川側からの攻撃は想定されていない模様。
数か所の城門はとても大きく、大変複雑な造りです。英語の説明板では「gate tower complex(門の塔の複合施設)」となっていました。
内側に城壁と塔になった門があり、城壁を取り巻く堀に門から橋がかかって、橋の向こうは小さな砦になっています。
私も詳しくないのですが、門全体で、出丸と枡形虎口を兼ねたような機能だったのではないかと…
門の一つでは、この砦が教会になってました。内側から見ると教会なのですが、外側から見ると窓がなくて城壁の一部なんです。
これ、中世からこの状態なのでしょうか???もしそうなら、カミサマを盾にしようとは、なかなか考えたものですね。
こんなに厳重な守りにしても、30年戦争ではカトリック軍4万に囲まれ、陥落させられたそうです。
今はおとぎ話のような美しい街ですが、歴史の現実は厳しいですね…。


30年戦争でカトリック軍が入城したレーダー門    教会を盾にするクリンゲン門   城壁と渓谷越しに見える街の反対側   ブルク門、この門の外は公園になってます

東山魁夷先生はローテンブルクがお気に入りで、何枚も描いていらっしゃいます。
でも、工事中だったり、構図が難しかったりで、なかなか同じような写真は撮れず、残念…。
こちらは中でも有名な「窓」。舞台はシュピタール門の中にある、多分門番小屋の外に設置された石のベンチです。
ここであってるはずなんですが、壁の感じとかちょっと違ってますね。当時は木組みは漆喰で塗られていたのかな。
旅の途中、ちょっと座って足を休めたくなる、趣のあるベンチでした。

 
               東山先生の「窓」               ドアは開いてるように見えますが、閉まってるんです。窓も閉まってて、残念。

ローテンブルクはロマンチック街道でも大きな町で、地形も街の形も複雑で、時間が足りなくて全然探検しきれませんでした。
(ロマンチック街道バスを使えなかったため、予定より滞在時間が短かった…)
また機会があったら訪れて、もっと街の中をくまなく歩き回りたいなあ…

というわけで、次はデューラーとマイスタージンガーの街、ニュールンベルクです。




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